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マリアンヌ

「で、どうしてこんなことに……。」


 ミーナは目が覚めて、鏡を見せられて初めて事態を把握した。


 マチルダが見せてくれた鏡に写る自分の姿がそれは可愛らしいウサギのペンダントになっていることに……。


「大仕事だったでふぅ。」


 ご満悦なジョルジュをキッと睨む。


 しかし、可愛らしいウサギのペンダントはやはり可愛いままであった。


「ジョ、ジョルジュくん、前のまま、復活できるのではなかったの?」


 ジョルジュが状況を説明してくれた。


 簡単に言うと魔神を崩壊させた際に、まだ残っていた魔神形成の毒素を受けてしまったことが現状維持を不可能にしたと言うことである。


 その毒は体内組織の全てをデータに変えることでしか分離できなかった。


再構成させるためには別の基本体が必要となり、機械か魔道具以外に選択肢がなかったそうだ。


 生き物に転写する場合、強力な力を宿した大きな触媒が必要となり、それを探すだけでも何十年もかかるのだそうだ。


 波長が合うことも必然で、諸事情も含め、選択肢がこれしかなかったらしい。


 そもそもマ・カロンの身体もそれに等しい魔道具であって、波長の合うものがネコのぬいぐるみというプロトタイプボディだっただけであることも教えてもらった。


 ミーナの波長にあったものがたまたまジョルジュ擬きだったことも…。


 これらの理由から形成された条件を満たすためにも現在のミーナの姿が最適解だと思うとの事だった。


 が、中々受け入れるのは難しいともジョルジュは考えていた。


 自力で歩行も移動もできない不便さは辛い事だということも……。


「まぁ、仕方ないか、命が繋がっただけでもね。」


 案外、アッサリと受け入れられている。


 ケロッとした顔でニッコリと微笑んでみせる。


「アタシも陰ながらでも、ランチェとずっと一緒にいられるんでしょ?」


「そうでふぅね、小生に真似ると、しっかりとサポートできるでふぅ。」


 二人は見つめ合い、ニタニタと笑う。


 側からは鳥獣戯画にしか見えない。


「ミーナと呼んだら、バレてしまうのではないかのぉ?」


 何気なくツッコんだマチルダの言葉に劇画調に愕然とする二人。


 後ろで見ていたリスティーは、頭を抱えていた。


 この抜け加減が彼等らしいと言えばそうではある。 

「じゃ、ジョルジュの女の子で、マリアンヌくらいでどうかしら?」


 リスティーの発言に!となると一同。


 互いの顔を見つめて、以心伝心で意思疎通、確認し合う。


「じゃ、マリアンヌじゃのぉ。」


「マリアンヌでふぅ。」


「マリアンヌね。」


 何となく満足しているようだとリスティーは呆れてみたり、心からホッとしたりしている。


「アタシではなく、あたくしにしてみたい。」


「おお、それは良いかもしれんのぉ。」


「語尾に『ピョン』を付けるとウサギ感が増すのであーる。」


 突然、金ピカの羽根付き扇子のような大天使が三頭身で加わってきた。


「キャッ!」


 元ミーナが悲鳴を上げる。


「な、なんです、これは…。」


 リスティーは見てはいけないものが存在している事に冷静さを失っていた。


 狭い病室で攻撃魔法を展開しようとしていたからだ。


「このお方は、天界の管理者のお一人、大天使のメダリオン様でふぅ。」


 業務的な感じでジョルジュは金色発光して筋肉アピールをし続ける謎の物体を紹介する。


「はーい、エブリワン!


 汝、迷うことなかれであーる。


 大天使、メダちゃんがしっかりとジャッジメント〜、ヒャッハー。」


 凍り付く一同。


「確かに慣れていないものには、客観的にも相当に厳しいでふぅ。」


「そうさ、エブリワン、エレガントに『ピョン』をお薦め!」


 聞くしかないのだろうと空気で悟る一同。


 そうして、真剣に濃いキャラ同士の話し合いは続いていった。


 リスティーが更に頭を抱えていると、カシミアが側にやって来て、耳打ちをする。


 ハッとなって、顔が険しくなる。


「何処に魔法陣があったと……。」


 小声で冷淡に呟く。


「精霊の笛が納められていた神殿でござる。」


 釣られて、カシミアも小声で言う。


「魔法医殿の話では、特別な封印のための鍵という事でござると……。


 何分、魔法陣自体が古代の封印で七重にかけられていたそうでござる。」


「それが壊されていたんですね。」


 果たして、何が封印されていたというのだろうか? 

「おお、そう、忘れていたのであーる。」


 腹筋と上腕筋を見せつけるポーズで苦悶の表情を浮かべる。


「神話や伝承にあるヤバい王が復活するのであーる!」


 メダちゃんが本来の目的を伝えるとすぐに大地が揺れ始める。


 初めは小さく、弱かったが、次第に響きは強さを増していく。


「封印がまさに解かれようとしているのであーる!


急いで伝えに来たのであーる。」


 ドヤ顔のメダリオンに対して、もう誰もツッコむ気も失せていた。


「こんな事を知っているなんて…、まさか、あの娘では…。」


 リスティーは何かを思い出したかのように突然部屋を飛び出した。


 誰もがこの世が引き裂かれるような崩壊を予想する。


それ程に不気味な振動が都市全体を襲い始めた。

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