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ミーナの生死

 一気に衝撃波と共に巨大な爆発が辺りを飲み込んだ。


「南無・光一閃」


 マ・カロンは爆風の中、貫かれた腕を振り千切り、そう叫んだ。


 弾け飛び、破滅の魔眼が崩壊する。


 崩壊した破滅の魔眼は幾何学模様を伴って黒いモヤとなって宙に投げ出される。


 真っ白な光になったマ・カロンは巨大化し、細マッチョに変身していた。


 その刹那、魔神のボディに亀裂が走り、表皮が弾け飛ぶ。


 中にいたランチェだけを掴み取ると一瞬にして、アクアガーディアの門付近まで瞬間移動していた。


 右腕には裸のランチェを、左腕には半身が真っ黒な墨と化したミーナを抱いている。


 それが今のマ・カロンの限界だったのだろう。


 抱えきれなくなった二人を腕から落とし、一瞬にしてマ・カロンはいつもの姿に戻って行った。


 宙から自由落下したマ・カロンは地面に落ち、バウンドすると動かなくなった。


 暫く沈黙が起こり、破滅の魔眼が二度目の激しい爆発を起こす。


 呪いの魔道具同士の接触による爆発を維持したくないのか、特異点が出現する。


爆発は特異点に飲み込まれる。


すべては一瞬にして虚空へと消え去る。


 こうして何事もなかったかのような静寂の夜が取り戻された。


「再起動しまふぅ。」


 静寂の中、完全にシャットダウンしていたカエルのペンダントが声を発した。


「チャージ、機能シュミレーション、オールクリア、システムスキャン、オートサーチ、オールグリーン。


全てを完全修復。」


 閉じられていた目がカット開かれ、七色の光を放つ。


「完全復活でふぅ、小生、再び伝説を作りまふぅ!」


 ただ場は静けさが支配する。


 トコトコと走って来たレッサーバードの首からぶら下がったジョルジュだけはご満悦そうであった。


「ケロケロ、君達には高度過ぎたでふぅか?」  


 あまりの反応の無さに改めてキョロキョロと辺りを見回し、その状況をやっと把握する。


 すべてが良い方に変わっていると勝手に信じていたジョルジュは三人がとんでもない事になっていることを初めて認識する。


「最悪の事態でふぅ。」



「マ・カロンとランチェはなんとか大丈夫でふぅ。」


 集中治療室、マチルダとリスティーの見守る中で、ジョルジュはそう答えた。


 マ・カロンは替えのボディが存在していたので、それに取り換えたようだ。


 もっともプロトタイプであるが、性能は変わらないとジョルジュは語っていた。


 身体と精神がうまく繋がらないと、動きも鈍く、しばらくは痛みも伴うとの事だった。 


 ランチェは『カイザー』の一つ「猫じゃらし」が運良く上手く融合したため、一命を取り留めることができた。


 魔神化の悪影響が何処かで出るかもしれないが、本人の身体には多少の傷は残ったが、全くその恐怖体験の記憶も破滅の魔眼の破片も残っていないらしい。


 それよりも困窮を極めているのは、心音が微かに聞こえている。


生命エネルギーがほぼ尽きているミーナを如何にして救うかであった。


「魔法の力ではこれ以上はどうする事も出来そうにもないみたい。」


 リスティーは魔法医の見解をみんなに伝えた。


「妾には今は魔力しかないからのぉ……、役立たずじゃ。」


 悲しげにマチルダは俯くばかりである。


 ミーナに破壊石を渡してしまったのが自分の失策であった事を悔やんでいる。


 それが結果的にはマ・カロンとランチェを取り戻す要因にはなったのだが、手放しで喜べる状態にはない。


 救い出したミーナの右腕は失われ、顔の右半分以外は体のほとんどが炭と化していた。


 魔法医の魔法でかなり蘇生した。


でも、生命力が今にも尽きようとしているミーナをこの世に留めることは不可能だと診断を下していた。


 肉体の崩壊は最早止める事はできないと言うのが、魔法医の見識であった。


「方法がないわけではないでふぅ。」 


 ジョルジュが呟く。


「今の形に囚われないなら、可能でふぅ。」


 誰もが言っていることが理解できていない状態だが、構わずジョルジュは続ける。


「先ずは本人の意志が重要でふぅ。」


「ミーナを……、ミーナの命を、守ることができるのかのぉ。」


 マチルダはミーナの眠るベッドの横にある点滴用のフックに吊るされているジョルジュにゆっくりと手を伸ばす。


「相性もあるのでふぅが…。生きたいという強い意志がいるでふぅ。」


 ジョルジュは差し出したマチルダの手に向けて、目からの光を投影する。


 すぐさま、マチルダの手のひらには、ピンク色のジョルジュ擬きが出現した。


「先ずはこれをミーナの首にでふぅ。」


 マチルダは手に持ったジョルジュ擬きをギュッと握りしめてから、半透明の魔法の壁に囲まれたベッドの上のミーナを見つめた。


「ミーナ……。」


 マチルダは意を決したように立ち上がると魔法の壁の中に入っていく。


 ペンダントのロックを外し、ミーナの首にペンダントを取り付ける。


 お茶目な顔をしたジョルジュ擬きの表情が元気づけようとしているかの如く揺れている。


 付け終わると、まだそこを離れる事を躊躇いつつも、魔法の壁から外に出る。


「ではでふぅ、ミーナの心の奥、心窓にアクセスするでふぅ。


暫く、どんな事があってもでふぅね、誰も小生にも、ミーナにも一切干渉してはいけないでふぅ。


共に戻れなくなりまふぅ、良いでふぅね。」


 リスティーもマチルダもしっかりと頷く。


「では、アクセス開始でふぅ!」


 ジョルジュの目が無数のランダムの七色がキラキラした模様に変わる。


彼の言うところの雰囲気演出なのだろう。


 ピンクのジョルジュ擬きが次第に緑色に発光し始める。


 リスティーとマチルダは只々これから始まる奇妙な出来事をただただ見届けるしかなかった。

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