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ミーナの目覚め

「気が付いたかのぉ?」


 ミーナは朦朧とした目で揺れる天井を見つめていた。


アタシは…と言葉を発した途端に全ての記憶が蘇る。


 慌てて立ち上がろうと身を起すが、全身に走る痛みで身を縮めて布団に蹲る。


「まだ動いてはなりませぬ。」


 激しい爆発の中でも精霊の護符のおかげでマチルダとカシミアは無傷であった。


 マチルダと精霊の護符の関係が驚くほどに相性が良いのであろう。


 最低でも通常の数倍は効果を発揮したようである。


「魔法医殿に気が付いたと報告して来るでござる。」


 カシミアはスキップでもしそうな軽快な足取りで部屋を後にする。


 ミーナは朦朧とした意識のまま、脳内の整理もつかず身震いをしていた。


「ど、どうして…、アタシなんかを…。」


 マチルダは不思議な顔をして、ミーナを見ていた。


「仲間を助けるのは当たり前じゃろて。」


 にっこりと笑う。


 笑顔を受けたミーナの表情には困惑の色が滲み出ている。


「アタシ、あんな事…、したんだよ。」


 震える指で唇をなぞっる。 


 乾き切ってカサついていた。


「悔やんどるんじゃけぇ?」


 その言葉で視界が歪み、目の焦点も合わなくなり、慌てて俯く。


 布団の模様を目で追う。


 嗚咽が溢れる。


 マチルダは手をスッと彼女の視界に差し出した。


 ミーナは合わないピントで懸命に差し出された手を見つめた。


「これは?」


 ミーナはゆっくりと視線をマチルダの方に移す。


「魔法医が摘出したのじゃ。


 其方の体の中にあった破壊石じゃて。」


 マチルダはニコニコしながら手のひらにある拳大の管が蔦のように絡まっている青い宝石を何度か突いた。


 自分の命を脅かして来た憎むべき破壊石を見て、引き攣るように笑い出した。


 笑い声とは違い、本当に入ってたんだと切ない顔になっていた。


「こんな、こんな物のために…。」


 こんな物のためにアタシは大切なものを…、大切な人…と思考がランチェのことにすり替わる。


「ら、ランチェは?」


 少し焦りつつ尋ねる。


「それが…、マ・カロンが救うために奮戦中と言ったところじゃ。」


 顔を曇らせて、マチルダは左斜め上を見つめる。


「ね、ネコ師匠も酷いダメージを受けてたんじゃないの?」


 ミーナの顔が青ざめていた。


「うーむ、今は任せるしか…。」


 マチルダは表情を曇らせていた。


「グズグズしていたら…。」


 身を起こし、立ち上がろうとしてミーナは痛みでまた身を縮める。


 邪魔になった破壊石をベットの横にあるテーブルに置く。


不安な顔を隠し、慌てて近づいて身体を支える。


「被害を小さくするために都市の外に出て行ったのじゃ。」


 どうしても力付けたくて、マチルダは心の内を囁いた。


「神外の魔神と戦えるのはマ・カロンだけじゃ…、今はのぉ…。」


 口から出かかった「足手まとい」という言葉は飲み込んだ。


 身体を縮めて、ミーナは疎外感を感じていた。


 どうして良いのか思いつかず、マチルダは急に明るい声を上げる。


「何か元気が出るものが……、食べ物がいるじゃろうのぉ、何がいいかのぉ。」


 椅子から立ち上がりクルクル舞いつつも部屋を後にする。


 ミーナは何かを乞うようにマチルダが出ていったドアを見つめている。

 

ゆっくりと震える自分の手を引き寄せる。


「まるで自分のじゃないみたい。」


 涙が溢れて頬を伝う。


 その事で不思議と思考が落ち着きを取り戻していく。


 ミーナはチラッとテーブルの上の破壊石を見る。


 破壊石の核は青く鈍い光を放っていた。

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