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思惑

 マ・カロンの試練が始まってから25日が過ぎていた。


 ランチェはメキメキと実力を上げていった。


 元々の素質によるものなのか、ミーナとの差は開いて行く一方である。


 ミーナにセンスがないわけではない。


 ランチェが突出し過ぎているだけなのだ。


 ミーナも普通の回避行動なら難なくこなせるようになっていた。


「黒霧」と言う黒いミストの中で相手の行動を操る、もしくは制御する能力に目覚めてもいた。


 過度の鍛錬の中で暗器という元々存在していた能力が開花していた。


 マ・カロンの技のほとんどもそのようにして身についていったものだった。


 ランチェはそう言ったスキルの発現はなく、むしろマ・カロンより伝授させていった技の継承者となっていた。


 ランチェの槍という特性を活かし、自らの持つ技に磨きを掛けていた。


「これから見せるのが「秘技・雲外鏡」って技のだ。」


 マ・カロンが肩に「孫の手」を乗せながら説明を始める。


 ミーナは覚えたての「黒霧」の練習のし過ぎで、マナを使い切ってしまったらしく、意識を失って大の字で寝ていた。


 心配そうにチラリとマ・カロンがミーナに視線を送る。

「まぁ、見ていな。」


 槍専用の技を見せるように「孫の手」を伸ばし、柄を握る。


「全方位解放、行くでふぅ!」


 礫が射出を始める。


 スッと顔を上げると槍を構えるような姿勢から正面で回転させ始める。 


 超高速回転している「孫の手」はあっという間に巨大な盾に変わるって行く「孫の手」に気が送り込まれる。


「秘技・雲外鏡!」


 そう叫ぶと、送り込まれた気が超高速回転している「孫の手」に注ぎ込まれ、鏡のような光沢を示し始める。


 正面から飛んできている礫が雲外鏡に吸い込まれる。


消えた礫はそのまま飛んできた通りの軌道に反射放出される。


「あ、すごい。」


 それに合わせて、マ・カロンは自分自身の踵を中心として、360°右回転し始める。


「ほう、鏡のドームが出来上がるってことじゃのぉ。」


 掃除係として、エプロンをつけ、派手目の長靴を履き、頭巾をつけたマチルダがいつの間にかレッサーバードの首からぶら下がったジョルジュの側に立っていた。


「サボっていいのでふぅか?」


 作業をサボって来ているのがバレバレのマチルダが不自然にソワソワしながら下手くそな口笛を吹いていた。


 レッサーバードも非難するように「ビッ」と短く鳴いた。


「ま、き、休憩なのじゃあ、あん。」


 奇妙なほど色気たっぷりな声で答える。


 浮ついた感じにジョルジュの御察しセンサーが働く。


「何か面倒なお願いでふぅか?」


「流石、ジョルジュ殿!」


「お断りでふぅ!」


 ジョルジュの拒絶に対して、酷くショックを受けるマチルダ。


「う、ぐぐぐ、で、ではじゃのぉ!」


 ジョルジュに耳打ちをする。


 見る見るうちに上機嫌になるジョルジュ。


「な、なるほど…、お主もやるでふぅね。」


 ニヤリとほくそ笑むマチルダには勝者の余裕が漂っていた。


二人で何やら密談を繰り返し、何かを交換し合うとお互いに視線を合わせないようにしながら、距離を取る。


 マ・カロンのお手本が終了するのを確認するとマチルダは「また来るからぉ。」と囁きながら不自然で挙動不審な動きで立ち去った。


 ミーナはピクリともしないで沈黙を守り続けている。


 ランチェはしきりに「秘技・雲外鏡」の極意を何度もマ・カロンに質問しながら、確認していた。


 まだ本当に穏やかさが残るある日の朝のことであった。

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