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ゲームオブザデッド 〜現実にゾンビや巨大怪獣が出現したけど、なんか謎の能力に目覚めたので、とりあえず両方ともぶっ殺していきます〜  作者: 空夜風あきら
第二章 Day2——学校へ行こう! 〜長い長い一日の始まり〜

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第64話 聖女ムーブで一発解決!

 


 なんだかこのまま放っておいたら、ヒートアップしていってヤンキー先輩たちに向けて出ていてコールとか始まりそうだなぁ。

 あるいは、追い詰められたヤンキー先輩が発狂して、藤◯竜也ムーブ的なことをするかもしれない。——「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、こ゛い゛つ゛は゛ゾ゛ン゛ビ゛な゛ん゛か゛じ゛ゃ゛な゛い゛信゛じ゛て゛く゛れ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!゛!゛!゛!゛」——とか言って。……ちょっと見てみたい気もする。


 ——おい。


 ……まあ、そうならないうちにとっとと介入して、この場を収められたらと思いますよ。


 しかし、そんな私の思惑(おもわく)他所(よそ)に、この場では、落ち着きを取り戻したらしい会長さんが、凛とした声でヤンキー先輩に語りかけている。

 そのよく通る声によって、少し騒がしくなっていた周囲の喧騒も徐々に静まっていくのだった。

 会長さんが話し出すと、自然と皆が会長さんの言葉に耳を傾けていく。——そうなると、私なんかは下手に口を挟めなくなってしまう。そもそもが、こういうの苦手なんだから……


「この件に関しては、すぐにでも対処しなくてはいけません。この人を、ここに置いておくことは出来ません。これは決定事項です。後は、どこに、どうやって移動させるか、ですか……」

「追い出すっていうのかよ……せめて、なんか縛りつけて様子を見るとかよぉ……」

「それでは何の解決にもなりません……彼を置いておける場所もありませんし、危険過ぎます。ただ……」

「……なんだよ?」

「この人が、外の連中のように“成り果てた”時、あなたが責任を持って始末するというなら、考えないでもありませんが……。あなたに、それが出来ますか?」

「……ダチを殺せっていうのかよ、俺が、この手で……」

「ケジメをつけろということです。彼の傷を知っていながら申告しなかった責任があなたにはありますし、友達を助けたいと言い出したのはあなたです。その人が奇跡的に助かる僅かな可能性に(すが)りたいというのなら、ダメだった時にはあなたが手を下すのが、果たすべき責任というものでしょう。とはいえ、本来はそれだって危険ですから、なるべくなら避けたいんですけど……」

「出ていかなくていいのか……?」

「とにかく、別室には移動してもらうことになります。拘束も必要でしょう。それらはすべて、あなたにやってもらいます」

「どこに行けばいい……?」

「そうですね……やはり、体育倉庫とかでしょうか。一応、鍵も掛かりますし……」

「——ま、待て! さっきから聞いてたら、アンタ何を言ってるんだ! まさか、そいつをここに置いておくつもりか!? 冗談じゃないぞ! そいつはとっとと外へ放り出すべきだ! そんなの考えるまでもないだろっ!」


 私が介入のタイミングを見計らっていたら、なんか話が変な方向に進んでいった——と思ったら、周りから誰かが乱入してきたし……

 ちょいちょい、聖女の奇跡で一発で解決するんで、私の話をー、挟むタイミングが……。

 ——私って基本的に大人数で話すのとか苦手なタイプだから、こう別の人たちの間で話が進んでしまうと……なかなか入っていけないのよね。


「なんだとっ! おいテメェ、俺のダチを外に追い出せっつーのか! そんなの人殺しと同じだろーが!」

「放っておいたらソイツが殺人鬼になるんだ! 追い出さないと危険だろうが! ソイツはもう外の連中と同じなんだよ! ここにいるべきじゃないんだ!」

「コイツはそんなんじゃねぇ! 誰も襲ったりしねぇ! 優しいヤツなんだ!」

「そんなこと知るか! 関係ない! 化け物になったら構わず襲って来る! 散々見てきた! ……そんな連中から命からがら(のが)れてようやくここに辿り着いたのに、お前一人の勝手でせっかくの安全地帯を捨ててたまるか!」

「ちょっと、少し落ち着いてくださ——」

「アンタもアンタだ! さっきから聞いてれば、コイツを倉庫に入れるだと? そんなことしてどうなる! なんの解決にもならんぞ! 追い出すのが最善だろうが!」

「それは、私だって分かっていますよ……でも、外への扉を開けるのは危険じゃないですか。もう外もだいぶ暗いですし、連中が居ないかどうか確かめるのも難しくなってます。扉を開けた拍子にヤツらが入ってくるのだけは避けないといけません。ですから、やはり隔離の方が安全かと思い直したんです。扉を開けるのが危険だということは、あなたにだって分かるはずでしょう?」

「そ、それは、そうだが……」

「なんだよ会長さん……あんた、俺に味方してくれたわけじゃねーのかよぉ」

「私は合理的な判断をしただけです。その結果、あなたにも利があるんですから、いいじゃないですか。一応、あなたの意見にも一理あるとは思ってるんです。私たちは、まだ外の連中のことを何も知りません。噛まれたら絶対に助からないとは……言い切れませんよ、今のところは。私だって、出来ることならその人にも助かってほしいんです。……私が完全に人道を無視する人間なら、別の方法はいくらだってあるんですよ」

「別の方法……?」

「扉を開けるのが危険なら、別のところから出せばいい。この体育館にも二階はあります。例えば、そこの窓から放り出すとか——」

「なっ! てめぇ!」

「その手があったか! それでいいじゃないか!」

「ですが! さすがにそんな真似はしたくありません。こんな状況でも最低限の道義というものがあるでしょう。それさえなくしてしまえば、こんな状況ではすぐに歯止めが効かなくなる……そうなれば、外の連中の脅威以前に、内部から崩壊してしまいますよ。——あなたはそれを理解した上で、それでもいいと言うんですか?」

「うぐっ、し、しかし……生き残るためには、非情な決断も時には必要——」

「なら、その決断はあなたがしてくれるんですか?」

「そ、それは……」

「具体的な方法を考えることもせず、決断も人にやらせて、あなたは口を出すだけですか? ……こんなこと言いたくありませんが、私よりも一回り年上の大人なら、それ相応の態度を取ってもらいたいです……」

「いや、それは……アンタがしっかり者だから、ついつい頼りにだな……」

「私だって、ただの高校生なんです……生徒会長だからって、本来ならこんなこと、私の仕事じゃないわ……出来ることなら、誰かに代わってほしいくらい……」

「——その願い、叶えてあげましょう! もう大丈夫ですよ会長さん! なにせこの場には聖女様がいらっしゃいますからね! すべてまるっと解決です! いやほんと、聖女様に任せてもらえれば万事上手くいくので、皆さんはちょっと黙っててもらえますか! お願いしますね!」


 そう言って私は強引に割り込んだ。

 まったく、はよ聖女の奇跡をやらせてくれよ。そしたら別に二階の窓から放り投げたりしなくていいんだからよ。サラッとえぐい方法考えるね、この会長さんも。

 まあ、人道やらを無視したら、確かにスマートな解決策かもしらんけど。その点は、カリスマ生徒会長ってとこか?


 ——そんな褒められ方、全然嬉しくないわよ……


「なっ、な、なんなんですかあなたは——」


 私に向かって何やら(まく)し立ててこようとした会長さんを手で(さえぎ)り、私は続きを話す。


「この人を隔離する必要はありません」

「何をっ——」

「なぜなら! 聖女様が奇跡により浄化してくださるからです」

「あ、あなたねぇ! こんな時にまでそんな戯言(ざれごと)を——」

「問答は無用です! ——千の言葉よりも、一つの奇跡ですよ。その目で見れば、はっきりするでしょう。では聖女様、よろしくお願いします」


 そう言って、私はマナハスの方を向く。

 すると、それまでポケーと傍観していた聖女様は、ビクッと反応した。

 まーたこの聖女はボケ〜っとしおってからに。当事者意識がまるでねーぞ。

 会長さんの弁舌(べんぜつ)に聞き入ってるんじゃないよ、まったく。あんたが会長さんに魅入っててどーすんの。逆々(ぎゃくぎゃく)、あんたが会長さんを心酔させるくらいじゃないと。

 それぐらいしないと、この避難所の主導権を乗っ取れないでしょーが。この会長さんは手強そうなんだから、しっかりしてよね。


 私はマナハスの手を引いて、横たわる彼の枕元に連れて行く。

 その際に、そっと彼女の手の内に例のゾンビ毒浄化アイテムを忍ばせておく。これで仕込みはバッチリだぜ。


「皆さん! 今から、聖女様による浄化の奇跡が行われます。何が起きるのか、その目でしっかりご覧になって下さいね。それでは——」

「ちょ、待て! てめぇ、俺のダチに何するつもりだ! ダチに変なことしたらただじゃおかねぇぞ!」

「落ち着きなさい。大丈夫です。聖女様を信じるのです。さすれば、彼は救われます」

「何を言ってやがる! ワケ分かんねぇこというんじゃねぇ!」

「彼を治療すると言っているんです」

「なにっ——?! 治療って、そんなこと、出来んのかよ……?」

「出来ます。聖女様に任せなさい。それが彼を救う唯一の方法です。友達を、救いたいんでしょう?」

「当たり前だろっ!」

「ならば任せなさい。聖女様にすべてを(ゆだ)ねるのです」

「……ほ、本当に治るのかよ……?」


 ようやくヤンキー先輩も大人しくなった。

 それじゃあ、また会長さんとかが突っかかってくる前に、とっととやってしまおう。


「では、聖女様……お願いします!」



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