第235話 『Don't be Afraid』
そして、戦闘が始まった。
私たちは三人並んで——一面に荒野が広がるフィールドの一角にて——巨鳥機と相対している。
そんな私たちを俯瞰的に見てみると、三人それぞれの頭の上にゲージがあり、それが少しずつ溜まっているのが分かる。
このゲージこそは、ATBゲージ。
これが満タンまで溜まることで、自分のターンがきて、そこで初めて行動できるようになる。
そう、つまり“ATBF”とは——ターン制で戦闘が進行していく仕様の異空間内で敵と戦うというスキルなのだ。
しかし、この“ATB”には、一般的なRPGのターン制バトルと比べて、大きく異なる点が二つある。
一つは、「ターンが敵・味方の二者の間で、一通り全員の行動が終わった時点で一区切りとなり、そこから次のターンに移り変わる」——という方式ではなく、それぞれの対象ごとに個別にくるということ。
要は、敵が一回行動するたびに、味方も全員が一回ずつ行動できるという——『ドラクエ』などでよくあるアレとは違い、敵味方関係なく、それぞれ個別にターンがくるのである。
二つ目の特徴としては、基本的に“ATB”では、常に時間が経過し続けている、というところだ。
通常のターン制バトルだと、自分のターンがきたら、行動を選択し実行するまで、どれだけ時間をかけようが敵も味方も行動せずに止まっているものだけれど……“ATB”は違う。その間も、各自のATBゲージは動き続けている。
つまり、自分のターンがきても、さっさと行動を選択して実行せずにモタモタとしていたら、敵が普通に攻撃してくるし、味方も普通に順番を追い抜いて行動することが出来る。
なので“ATB”は——攻撃の成否が命中率や回避率などの確率に左右されるなどの部分は——ターン制バトルでありつつも、自分のターンがきたらコマンドを瞬時に選択して実行していかなければならないというその点においては、通常のターン制バトルよりも、より迅速な展開になる仕様の戦闘だと言えるのである……。
なんてことを考えているうちに——一番最初に溜まったのは——私のATBゲージだった。
ピコンッ——!
とばかりに、私のターンがやってくる。
きたな……それでは、まずはどの行動を実行するべきか——
私の“行動”の選択肢は四つある。
【アタック】
【マジック】
【G.S.】
【ドロー】
それぞれの効果は、上から順に——
【アタック】
└武器による攻撃を行う。
【マジック】
└所有している魔法珠または特技珠を“使用”し、魔法または特技を放つ。
【G.S.】
└〈J〉している〈G.S.〉を召喚する。
【ドロー】
└敵から、魔法珠または特技珠を“奪取”する。
という感じ。
この四つのコマンドのうち、まず使うべきコマンドといえば、もちろん……
「火神、分かってるよな、最初に選ぶ“行動”は……」
「もちろん……まず初めに使うのは——【ドロー】だ……!」
マリィの問いかけにそう答えてやると、向こうもニヤリと笑って頷いた。
私は【ドロー】のコマンドを選択し、巨鳥機を対象に選んで実行する。
すると、ヤツからドローできるスフィアのリストが現れる。
六つの項目はどれも【???】と表示されていて、今はまだ、どれがどういう効果のスフィアなのか分からない。
迷っても仕方ないので、とりあえず一番上の【???】を選ぶ。
そして私は【ドロー】を実行した。
【ドロー】
すると、自然に体が動き——正眼の構えを解いた刀を右手で逆手に持ち変えつつも背後に回し、空いた左手を手前に突き出すような——なにやら歌舞伎で見得を切るようなポーズになって……いざ、ドロー!
ギュッギュギュギュイギュイギュイギュイーンッ——!!
なんて音が聞こえるくらいにダイナミックに……巨鳥機からいくつもの光る珠がこちらに向かって飛び出してきて、私の中に収まっていった。
【“スキャン”を 9つ入手!】
なんて脳内に浮かぶ文言の言う通りに——なにやら、“スキャン”とかいうスフィアが九個、手に入った。
さて……この“スキャン”というスフィアが一体どういう効果を持つのか——そもそも魔法なのか特技なのか——それはまだ分からない。
それを確認するには、次また私のターンがきて、つい今しがたドローしてストックされた“スキャン”を、【マジック】のコマンドを開いてリストの中から選択してみる必要がある。
ちなみに……ATBFにおいてはMPゲージが存在せず、【マジック】で使用する魔法珠や特技珠は個数で管理されており、使った分だけ減るという仕様になっている。
行動を終えたばかりの私のATBゲージは空で、今まさに少しずつ溜まっていっている。
ピコンッ——!
と——私にいくらか遅れて——次にターンがきたのはチアキだった。
「えっと、チアキはどうする?」
「ま、【ドロー】だろ。まずは全部【ドロー】してみようぜ」
「だね、了解。——んじゃあチアキ、“スキャン”以外なら何選んでもいいから、とりあえず【ドロー】してみて」
「……あー、よく分からんが、この【ドロー】ッてヤツを選べばいいンだな?」
「そうそう」
するとチアキも——両手を突き出すようなポーズで——ちゃんとこちらの指示通りに【ドロー】を実行した。
【ドロー】
ギュッギュギュギュイギュイギュイギュイーンッ——!!
【“ソナー”を 3つ入手!】
スキャンの次はソナーらしい。
ふむ……字面からして、どうにも索敵や探知系のアレっぽい感じだね。
ピコンッ——!
そこで、チアキに続いてようやくマリィのターンがやってくる。
【ドロー】
マリィは間髪入れず——両手を突き出してガンブレードを横に倒したようなポーズで——ドローを実行する。
【“エアロジ”を 5つ入手!】
これは……どうも、風属性の——魔法っぽい?
「これって、風魔法?」
「ああ。風系の初級——一番弱い魔法だな」
「なる」
やっぱり風の魔法だったか。
なんだろう……鳥型だし、飛行タイプだから風魔法なんかね?
ピコンッ——!
と、次にターンがきたのは、私——ではなく、いよいよ巨鳥機のターンがきた。
攻撃に備えて、私は身構える——が……
しかし……それから待てど暮らせど、巨鳥機は一向に動きを見せない。
——止まってる……?
結局、巨鳥機が何かの行動を実行することなく……ピコンッ! ——と、再び私のターンがやってきた。
「これって……?」
「ふむ……どうやらこいつも、“動けない機械獣”だったみたいだな」
「ナニそれ?」
「いやね……なんというか、己もこれまでに、“ATBF”を使って何体も機械獣を倒してみたんだが……なんでか、そのうちのほとんどが、こいつみたいに——自分の手番がきてもぜんぜん動かずにずっとそのままで、倒されるまで一切なんの行動も取らないんだよな」
「え、何それ……?」
「さあな。詳しくは知らん。だけど、想像するに……機械獣は機械だから——こんな意味不明な空間に連れてこられたら——混乱して停止するってことなんじゃね?」
「マジで……?」
マジかよ……?
でも確かに……言われてみれば、いきなりこんな風に謎の空間に連れてこられたりしたら、人間だって混乱するのが普通の反応か。
私は事前知識というか、ほとんど同じシステムのゲームをすでにプレイしたことがあったから、なんか普通に受け入れられているけど……そうじゃなかったら、ここの仕様を掴むだけでもけっこうな苦労を強いられるというものだろう。——それが対応力に優れる人間だとしても。
だというのに、いわんや機械なんて……いかにも融通がきかなそうな存在などは、まるっきり状況を理解できずに完全停止してしまったとしても、無理もないということか……
なるほど、ではあの機械獣は……なんというか、完全にバグってしまってるって感じなワケか……?
でもマジか……マジで、倒されるまでずっと止まったまんまなん……?
そんなんマジで……バグというか、致命的じゃん……機械獣にとっては。
まあこっちからすれば、これ以上ないアドバンテージになるわけだけど。
そういや、言ってたっけ——マリィのやつ、能力の相性がいいとかなんとかって……
いやいや、相性どころの話じゃねーじゃん。発動した時点で、ほぼ勝ち確かよ。
機械獣にとっては“ATBF”は、もはや弱点がどうとかそういうレベルの話ではなく、使われた瞬間、勝ち目がなくなるクラスの最悪の技だったってワケか……。
「ンだよそれ……じゃあコイツはもう、何の反撃もしてこねェデクの坊ッてワケかよ」
「んー、らしいね……」
チアキは明らかに不満そうだったけれど……私としては、ぜんぜん——むしろ大歓迎だ。
相手が不利になるのなら、いくらでも不利になってくれてよろしい。
なにせ、これは実戦なのだから……それがバグだろうが、有利になるなら積極的に利用させてもらうだけよ。
まさかの、敵が完全停止して無力化されているという、衝撃の事実が判明したところで……
これ幸いとばかりに、それからの私たちは、気楽に落ち着いてじっくりと、この“ATBF”での戦い方を試していった。
【スキャン】
まずはドローしたスキャンを使ってみる。
——どうやらこの“スキャン”という特技は、敵に使うと「相手の情報を調べることができる」という効果を持つようだった。——つまりは“ライブラ”か。
すると、敵巨鳥機の詳細が判明した。
【飛行型巨鳥種偵察機】
HP——「13540/13540」
DP——「3340/3600」
種類——「機械」
属性——「風」
弱点——「雷」
という感じ。
DPというのは、敵からドローした際に減るポイントで、これが無くなるまではドローし続けられる。——ちな、目安としては、一回のドローでだいたい100くらい減るみたい。
その他の項目については、特に目新しいものではないというか……なるほどねって感じだろうか。
一万超えのHPについてはどうだろう……少なくとも低くはない。むしろ、だいぶ高いといっていい。
事実、コイツのHPと比べたら、私たちのそれは軒並みかなり低い。
私たちのHPというのも、最初から表示されており、確認することができる。
三人のそれぞれの数値としては——
私————「1563」
マリィ——「3342」
チアキ——「1827」
となっている。
なんかマリィだけ、私のに比べて倍以上のHPになっている件については——これには、ちゃんと理由がある。
マリィの〈O.J.〉しているG.S.——ダールシヴァーデム(通称ダルシ)は、「HP〈J〉」という能力を持っている。
そもそも、G.S.を憑依させることで、私たちは一気にSTが上昇するのだけれども……
そこでさらに、そのG.S.に対して、魔法珠や特技珠を〈J〉させておくことで——そうやって魔法珠などを〈J〉させた特定の項目のSTに関しては、私たちがG.S.を憑依させた際に上昇するST値を——さらに向上させることができるのだ。
どのSTに〈J〉できるかはG.S.によって異なり——というか、それ用のアビリティを持っているかどうかで変わるので、G.S.によって強化できるSTにはばらつきがあった。
私とチアキのG.S.は「HP〈J〉」を持っていないので……マリィと違い、HPをあそこまで劇的に増やすことはできないのだ。
ただし——それは裏を返せば、マリィにはなくて、私やチアキにはある〈J〉項目も存在するということでもあり……ゆえに、その特定の分野においては、私たちも他の二人を凌駕する性能を発揮しているということなのだった。
“スキャン”を試した後は、私たちは三人全員で、ひたすら——巨鳥機のDPが無くなるまで——ドローしまくった。
その時に実感したのだけれど、三人の中で一番ATBゲージが溜まるのが速いのが私で、さらに、一度にドローできるスフィアの数が一番多いのも私だった。
その理由としては、私が〈O.J.〉しているG.S.——アールコアーランド(通称ルコア)が、「速力〈J〉」と「魔力〈J〉」という二つのアビリティを持つからで……
この二つのアビリティがそれぞれ、先に挙げた二つの要素に関係するSTを強化しているからだった。
ドローし尽くしたところで、次に私たちは、別のコマンドを試していった。
【アタック】のコマンドを使い、武器による通常攻撃を試してみたり……
【マジック】のコマンドを使い——すでに使った“スキャン”を含む——いくつかの魔法や特技を試してみたり……
そして最後に、【G.S.】のコマンドを使い、それぞれが憑依させている守護精霊を召喚してみた。
通常攻撃については、一番ダメージを出していたのはチアキだった。
——“ATBフィールド”では、敵に与えたダメージ量もその都度(攻撃した敵の上に)表示されるので、正確な数値を確認することができる。
振り回して勢いをつけた鎖鉄球を、盛大にぶち込むという——チアキの通常攻撃で出た最大ダメージは、「687」だった。
チアキの次に大きなダメージを出したのがマリィで、出た記録は「564」。
通常攻撃が一番しょぼかったのは私で、最大ダメージでも「373」しか出なかった……。
まあ、チアキが一番だったのは、アイツが〈O.J.〉しているG.S.——クロコダインフリート(通称クロコ)が「攻撃力〈J〉」や「筋力〈J〉」などの、近接物理攻撃の威力が上がるSTに〈J〉できるようになるアビリティを持っているからなので……
このアビリティは、私とマリィのG.S.であるルコアとダルシは持っていない。なので、ここでチアキが一番になるのは当然なのだ。
しかし、それならばマリィも、本来ならば私と同じくらいの値に落ち着くはずなのだけれども……それにも関わらず、アイツが(私に比べて)けっこう高い値を出せているのは、武器の違いによるものだ。
マリィの武器であるガンブレードは、色々と特殊な武器で——ガンブレードの特徴といえば、なんと言ってもその、近接攻撃時にトリガーを引くことで刀身を爆震させて威力を増大させられるという特有の機構にあり、それにより——攻撃の際にタイミングよくトリガーを引いたら、確定でクリティカル(与ダメージ1.5〜2倍)を出せたり、命中率が最初から(なぜか)255%だったりと、なんか明らかに優遇されているのである。
なのでマリィは——実際、一度もミスることなく、ジャストタイミングでトリガーを引いていたので——毎回クリティカルを発生させることで、チアキに近いダメージを叩き出すことができていた。
私の刀には、そんな特別な機能は何もなかったので——攻撃モーション自体は一度の攻撃で二回斬る二段攻撃だったけれど、でも普通にそれで一回分の攻撃扱いみたいだったので——順当に一番低いダメージしか出せなかった。
ぐぬぬ……これなら、いつもの刀ではなく“雷斬”の方を使えば、もっと高いダメージを出せるんじゃ——とも思ったけれど、それはまた次の機会(あるいは機械)に試すとしよう。
それに、心配しないでも……私の見せ場は、ちゃんと最後に残っていたのでね。
そう、そんな感じに、一通り試してみて……
最後に使った【G.S.】のコマンドにより、私たちは自分の〈G.S.〉を召喚してみせた。
呼び出したG.S.たちの威容には、驚きと共に誇らしさすら覚えるほどだった。——そう感じるほどに、大いなる実力を秘めていることは一目で理解できた。
なにより、ここで呼び出したことで、私は初めて彼らの勇姿を直接この目で拝むことが叶ったのだった。
私のG.S.であるアールコアーランドは——私と大差ない体格の、人型の精霊だった。
容姿としては、メカメカしい装飾をつけた、イメージカラーが金質色の美少女——という感じ。
——どことなく、ボーカロイドの擬人化キャラクターの方々を連想させる雰囲気がある。
ルコアは雷属性なので、私とは属性の相性もいい。という理由もあり、マリィは私に彼女を当てがったのだとか。
そのマリィのG.S.であるダールシヴァーデムは——普通のそれより一回りほど大きい体躯の、翼が生えた馬だった。
見た目としては、水色の美麗な毛並みと壮麗なる双翼を携えた、イメージカラーが空水色の天翼馬——という感じ。
——なんとなく、私としては『ポケモン』のフリーザーを連想させる佇まいだと感じる。
ダルシは氷属性なので、炎属性の私とは相性が良くない。マリィがダルシを自分の〈G.S.〉に選んだ理由は聞いていないけれど……麗容なダルシと冷淡なマリィという両者は、確かにお似合いな気がした。
残るチアキのG.S.であるクロコダインフリートは——大型トラックに匹敵する巨体を誇る、重量級の怪物だった。
姿形としては、トカゲとワニを足して二で割ったみたいな爬虫類系で、イメージカラーが赤砂色の魔怪獣——という感じ。
——どことなく、サラマンダー的なのを連想させるという点では……ある意味コイツが一番精霊らしいのかもしれない。
クロコは炎と地の二重属性である。炎属性は私と相性がいいが、地属性は雷属性の弱点となるので、その点ではむしろ私とは相性が悪い。しかし、力こそパワーな性格のチアキとは普通に相性が良さそうなので、これにて三体の精霊は収まるべきところに収まったのである。
呼び出したG.S.たちは、私たちのそばに出現して一緒に戦ってくれた。
G.S.の使えるコマンドとしては——G.S.が単体で使う〈通常技〉や、G.S.と召喚者の両方が使える〈共通技〉を皮切りに、他にも、ATBFの中でしか使えない〈限定技〉や、G.S.と召喚者が協力して放つ〈連携技〉、特殊な領域を展開する〈領域技〉に、使うと召喚が解除される代わりに、強力な全体攻撃を放つ〈終幕技〉……と、これまた(確認するのが大変なくらいに)色々あるのだった。
そして何を隠そう……G.S.を出してからの活躍では、私が一番の成果を出していた。
——まあいうて、機械獣は雷属性が弱点だから、その点ではそもそも私が一番有利というのはあったんだけれども。
試したコマンドにおいて——今度は一転して、一番ダメージを出していたのは私だったし、巨鳥機にトドメを刺したのも、私のルコアの“終幕技”だった。
——すでに死にかけだったところに、ダメ押しの「5679」ダメージ出ました、本当にありがとうございました。
こうなるとむしろ、敵のHPがもっとあって良かったなって思った。まだまだ試せていないものがいくつもあったし。
ともかく、これにて——結果的に、最後の最後まで巨鳥機は停止したままだったので——私たちは、ATBFでの初戦を無傷にて完勝するという素晴らしい結果で終わることができたのだった。
敵が倒されたところで——戦後処理では色々と精算して——ATBFは終了し、異次元空間は消え、私たちは元いた場所に戻った。
脳内に流れる、盛大な勝利のBGMと共に……——。
◆
◆ ◆
◆ ◆ ◆
。
。
。
気づけば私たちは、「鏡の間」に佇んでいた。
「?? あれー? 機械のトリさん、消えちゃったよー?」
『Huh?(はあ??) Well……What's happening……?(えぇ……何が起きたん?)』
「……しゅ、瞬殺……?」
何が起きたかよく分かってなさそうな面々——の中でも、まだ一番理解してそうなシノブに、私は尋ねてみる。
「あのさ、シノブ……」
「あ、か、カガミさん……」
「どうだった? シノブから見て、何が起きてるように見えた?」
「え、いや、その……なに、というか……」
「うん」
「えっと、あの、お方が……」そう言ってシノブはマリィに視線を向け——しかし焦ったように——すぐに逸らす。「——お持ちの、その……特殊な武器で、例の鳥型の機械獣を攻撃した、と思った次の瞬間には……その鳥型は消え去って、そして、カガミさんたちは——こちらも、ほんの一瞬だけ、私には消えたように見えたのですが——変わらず、その場に立っていました……です」
そうか……マジで、そうなのか。
あの異次元空間——ATBフィールドもまた、ここと同じく……
他所とのタイムシンクが断絶された空間なのだ。
なので、私たちがあの内部でいくら時間をかけようとも……こちらでは、一切の時間が経過しておらず——
ゆえに、外から見れば、戦いはまさに一瞬にして蹴りがついたように見える……というわけだ。
つまり、ある意味では……
——というか、この場にいた面々から見れば……
巨鳥機を倒すのにかかった時間は一秒にも満たないので、クリアタイムはマジでゼロ。
そして、受けたダメージもゼロ。ノーダメージ達成。
そして、別空間で戦っているので、痕跡もゼロ。
とすると、000達成で……評価もSSSランクかな?




