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ゲームオブザデッド 〜現実にゾンビや巨大怪獣が出現したけど、なんか謎の能力に目覚めたので、とりあえず両方ともぶっ殺していきます〜  作者: 空夜風あきら
第四章 Day4——新たなる脅威 〜覚醒するチカラ〜

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第171話 どこ製か——それが問題だ



 出発の準備が整った。


 いやまあ、ここまで来るのにも結構かかったけどね。



 神社の周りに集まっていたすべてのゾンビを倒したことで、防衛戦はついに終了した。

 私としてはすぐに次の目標である藤川パパンの元まで行きたいところだったけれど、さすがにそういうわけにもいかなかったので、色々と事後処理をやっていった。


 まず最初にやったのが、アンジーが従えている怪鼠(かいそ)たちの処遇についてだ。

 コイツらはアンジーによって統制されているだけで、基本的には敵モンスターなので放置はできない。

 ただ、マユリちゃんには何やらコイツらを調伏する秘策があるということだったので、まずは彼女に任せてみることになった。

 もし彼女の秘策が失敗した場合は、少しばかり不憫(ふびん)だが仕方がないので全員始末するしかなかったが……結果としてはマユリちゃんの秘策は成功して、怪鼠たちはボスの巨大個体を含めて全員がマユリちゃんの支配下に(くだ)るに至った。


 その際に彼女が使った秘策というのが……コイツだ。



乱生の角ウサギプロリフィック・ホーンラビット

 種類(タイプ)——「星兵(サモンスター)

 等級(ランク)——「3」

 種別(カテゴリ)——「獣型(アニマル)

 戦技(アーツ)——「産乱増殖(プロリフェレーション)」「捕食成長(プレデターグロース)」「卵型爆弾(エッグボンバー)

 特性(アビリティ)——「被食支配(ドミネートプレイ)

 ——ST(ステータス)——

 LP(ライフポイント)——「2400」

 AP(アクションポイント)——「2200」

 攻撃(アタック)——「1900」

 防御(ディフェンス)——「1600」

 速度(スピード)——「1」

 射程(レンジ)——「1」

 ——FT(フレーバーテキスト)——

【可愛らしい見た目に反して、まるでエイリアンのようなえげつない生態をしているウサギ。個々の戦闘能力はそこまで高くはないが、あまりにも凶悪な生態をしているため、発見され次第、一匹残らず確実に駆除することが求められる。別名——エイリアン・パラサイト・ホーンラビット】



 えー、すでに出てきていた、あの角ウサギの星兵(サモンスター)のこと……なんだけれど。

 ……ふふっ。

 いやコイツさぁ、こんなエゲツナイ感じの能力保有してたんだぁ……って感じなんだわ。


 今回脚光を浴びたのは、コイツの特性(アビリティ)である「被食支配(ドミネートプレイ)」ってやつ。

 これはつまり、どういう能力なのかというと……要はコイツ(の生み出した卵や、それから産まれた角ウサギ)を食べた相手が、コイツの支配下になってしまう、という能力なのだ。

 なのでまあ……コイツ(マザー)が産み出していた角ウサギを怪鼠に食べさせたら——バッチリこの能力が効いて——怪鼠たちはマザーの配下になったようなので、これにて怪鼠の処遇に関しては一件落着となったのでした、まる。

 ——一応、事前に、防衛戦の最中に神社の内部に侵入した怪鼠相手に特性が効くことを確認していたらしいので、懸念としてはボスにも効くかどうか、というところだったらしいけれど。


 まあでも、怪鼠たちを支配下に置いたとはいえ、結局は最低限の安全が確保できただけって感じなので、相変わらず怪鼠たちは城壁の外で待機させてるけどね。

 ある程度は命令を聞かせられるようにはなったみたいなんだけれど、それも大雑把な命令ができるだけだし、敵味方の識別にも若干不安が残るので、それは妥当な処置だった。

 というか、その城壁についても、いまだに出したままだし。


 なんというか……戦闘が終わって落ち着いて、それから軽く話し合った結果——この神社はこのまま避難所の一つとして利用していくことが決まったので、ひとまずの防衛設備として、城壁はまだ残しておくことになった。

 結界が壊れてしまった今となっては、城壁がないと神社の守りが不安だからね。

 まあ、結界も壊れちゃったし、もうこの神社は避難所としては使わずに完全に撤収しちゃってもいいかと私は思ったんだけど、結局はそうしなかった。

 というか、この神社は放置したらいけないらしいのだ、立地的な理由で。


 それは——そもそも、ゾンビがこの場所になんでこれだけ大量に集まっていたのか、ということにも繋がってくる話なんだけれど。

 なんでもこの神社、〈霊穴(れいけつ)〉とかいうものを管理というか、封印というか、そういうのを元からしていたらしくて。

 んで、この〈霊穴〉とかいうのが、放っておくと色々とヤバいことが起きるからしっかりと見張っておかなきゃいけないらしくて。さらには、ゾンビがここに異常なほどたくさん集まってきていたのも、もしかしたら、この〈霊穴〉を狙っていた可能性がある——とかいう話まで出てくる始末で。

 それこそ、この神社に張ってあった例の結界にしたって、元々はこの〈霊穴〉を封じるための処置の一つだった——らしいし。


 でもまあ、その結界も壊れちゃってるわけで……元から柵とかがあるわけでもないし、城壁が無くなったらゾンビも普通に入ってきちゃうわけよ。

 なので城壁は、落ち着くまではこのまま継続しておくことになった。


 正直、〈霊穴〉がどうとかいきなり言われたって、専門外の私には何が何やらチンプンカンプンなんだけれどね。

 でもまあ、実際にあれだけ——尋常ではない数の——ゾンビが集まってきていたなら、信ぴょう性はあるなということになるし。——まあそもそも、幽ヶ屋一族の力とかを疑っているわけでもないからね、私は。幽ヶ屋さんの能力をすでに自分自身で体験済みだし。

 なので、その辺りの専門的な部分については、全面的に専門家である彼女たちに任せることにした。

 とりあえず、結界を張り直したり新たな防御の術を行使したりと、色々とするらしい。

 まあそれについては、私たちが出発した後にじっくりとやってもらえばいい。


 私たちが居なくなるとしても、幽ヶ屋さんのパーティーである「巫女組(チーム巫女)」は残るわけだし、戦力はいる。

 それに加えて、幽ヶ屋パパンもプレイヤーとして覚醒したので、戦力はさらに増えている。

 彼には私からポイントを渡して、すでにレベル10になってもらっている。

 そしてレベル10で解放された「サーヴァント契約」も、すでに実行済みだ。


 彼のサーヴァントになったのは、あの南雲(なぐも)さんの両親である、父親の南雲双龍(そうりゅう)さんと、母親の南雲雪風(ゆきかぜ)さんの二人。

 それぞれ、十文字槍と青龍偃月刀せいりゅうえんげつとうの使い手で、その腕前は言わずもがな、達人級らしい。

 この二人はプレイヤーになる前から、普通にゾンビや怪鼠をバッタバッタと倒してたらしいので、戦力としては申し分ないところであろう。


 これからもゾンビは集まってくるだろうが、こまめに排除していれば問題ないはずだ。そのための戦力は足りているから、私たちが離れても大丈夫だろう。

 それに戦力というなら、我々にはマユリちゃんという極めて心強い存在がついているのだから……なにかあったら彼女を頼ればどうとでもなるはずだ。


 他にも、神社の周りに残された膨大な数のゾンビの死体をどうするのかとか、助けた生存者をいつどうやって春日野高校まで護送するのかとか、まだだいぶ落ち込んでる幽ヶ屋さんのメンタルケアをどうするのかとか、色々と考えるべきことはあったけれど……

 結局、その辺もすぐにどうこうすることはできないし、優先順位としては先に出発するべきなので、諸々の問題は後回しにすることにした。


 まあ、問題というなら、一番の問題は、私たちのこれからの“足”なんだけれどね。

 そもそも起きたのがすでにお昼頃だったし、その後の防衛戦にもけっこう時間を食ったので——いやまあ、むしろ時間を食ったってくらいの感想で終わってること自体が、あの防衛戦の規模からすればすごい偉業だと言えなくもないくらいだけれど——できる限り急がなければいけないのだ。

 で、じゃあ、具体的にどうやってパパンの元まで向かうのか、ということなのだけれど。

 まあ、もうね……この際だから、秘蔵のブツを使っちゃうことにしました。


 実のところ、移動手段として使えそうなものとして、私には目星をつけていたものがあるにはあったのだった。

 だけど、おいそれと使えるものではなかったので、使うかどうかをずっと迷っていた。

 でも、事ここに至っては、もう使っちゃうしかないだろうってことで、ついにソイツをお披露目しちゃうことにした。


 ソレを使うにあたって一番のネックになるのが、その“乗り物”を操縦できる人がいないという問題だった。

 ただ一応、それについてもアテがないこともなかったけれど——今日になって新たにアテになりそうな“人物”が出てきたので、まずはその人に運転できるか試してもらった。

 その人——つまりはアンジーに。


 まあ、車も運転することが出来たからね……。

 いやそれどころか、巨大な鼠の怪物すら乗りこなしていたアンジーだよ。

 恐るべき「騎乗技術(ライドンテクニック)」とかいう特性(アビリティ)を持っているアンジーなら、ひょっとすると……?

 って、思っていたら……案の定でした。


 普通に運転できちゃったよ、アンジー!


 私の出した()()を!


 ……ええ、そーなんですよ。

 ヘリコプターです。

 私の移動手段のアテ、それはまさかの——空飛ぶゆかいな乗り物——ヘリコプターなのだった。


 いやお前、そんなんいつ手に入れたん? と思うよね。

 え、まさかショップに売ってんの? っていうのは、まあ、ノーなんですけど。

 ショップはねー、確かに、もはやフィクションの世界にしか存在しないような——一瞬で怪我を治す回復アイテムみたいな——ものすら売ってるくらいに、色々なものを取り扱っているんだけれど、実は、“乗り物”っていうカテゴリーに関しては、あんまり扱っていないんだよね。

 そうなのよ、ショップには乗り物はほとんど売ってないのよ。

 え、じゃあ、どっかから拾ってきたんかこのヘリは? プレイヤーの能力とかショップとか関係ない、野生のヘリなんか、これは? と言われれば、まあ、それもノーなんですけど……。

 いやさすがに、ねぇ? ヘリとか簡単に見つかるところに落ちてないし。——そんな、GTAじゃあるまいし……。


 じゃあ、どーやって手に入れたの? っていうのは、まあ答えを言ってしまうと、アレです。

 そう、「ガチャ」です。

 ガチャチケットを使ってね、当てました。

 昨日の夜のね、寝る前にね、ガチャをやったんだけど……一番レアリティの高いガチャをやったら、色々と出てきたんだよねぇ。やべぇブツがさ、色々とね。


 そのうちの一つが何を隠そう、このヘリなんだよね。

 いやけっこうデカいよ、このヘリ。

 てかヘリっていうか……たぶんヘリだと思うナニカ、というか。

 少なくとも、プロペラがついてて、操縦が出来て、空を飛ぶ——系の乗り物。

 いや、なんせ私は特にヘリに詳しいわけじゃないし、でも詳しくないなりの意見を言わせてもらうとしても——なーんか現代に実在しているヘリとはちょっと違うくない? いうなれば、近未来とでもいうべき何かの要素が40%くらい含まれた見た目してない? って感じなんだもん。

 なんかね、なんかそんな感じなんだよ、このヘリ。


 あ、あとね、武装も色々とついてるっぽい。このヘリっぽい乗り物。

 つまり武装ヘリなんだよね、これ。

 ……強そうです。かなり。

 ——もしかしたら、コイツを使ってたら、あるいはこの神社を取り巻いていたあのゾンビの大群も、もっと簡単に殲滅できていたかもしれないよね。

 というのは、さておき。


 とにかく、このヘリがあるので、パパンのところにはこれに乗って空を飛んで行くことにする。

 乗るのは私のパーティー、「聖女組(チーム聖女)」の三人——私と、マナハスと、藤川さん。そしてこそにアンジーとウサミンが加わって、総勢五名にて向かう。

 操縦してくれるのはアンジー。この謎のヘリっぽい飛行機械についても、バッチリ運転することができたので、彼女に任せる。


 さすがにヘリは無理かと思ったけど……意外といけるもんだよね。

 まあ、それについては、そもそもヘリの方にかなり高性能の自動操縦的な機能が搭載されてるみたいなので、実際のところは案外そんなに難しくなかったりするのかもしれない。

 まあ空はなんの障害物もないからね。離陸と着陸だけ上手くできれば、あとは特に難しいことはないのかなと、ド素人がクッソ安易な考え方をしてみたりなんてね。

 それでも念のために、能力的に一番適任そうなアンジーに操縦を任せるのだから……きっと大丈夫だ、なんの問題もない。



 さて、では。

 神社の一番広いところにある、すでにエンジンのかかっている——アンジーの操縦の試運転としての離着陸の練習を終わらせた——ヘリの前まで来て。

 諸々の準備を終わらせた私たちは、いよいよこれに乗って、空の旅へと出発する。


 私たちが乗り込んだところで、操縦席のアンジーが出発の最終確認をしてきたので、私はゴーサインを出して応える。


 すると——


 ヘリはたちまち離陸して、すぐにどんどんと高度を上げていき——気がついた時には、すでにかなりの高度をけっこうな速度で進んでいるのだった。


 私は窓から外の景色を見下ろして、ついさっきまでいた幽ヶ屋神社がすでにかなり遠くに小さくなっていくのを見送りながら……

 新たな目標へ向けて、ヘリにて空中を一路、進んでいくのであった——。



 ……これがCAPC◯M製のヘリではないことを、切に祈りつつ——


 

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