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第143話 規格外の能力……!



 マユリちゃんの能力は、控えめに言って規格外(チート)だった。


 あれから、色々とマユリちゃんに能力を試してもらった結果——私はそう結論付けるしかなかった。

 いや、マジでこの子の能力、とんでもねぇかったから……



 まず、現在のマユリちゃんは、本人のレベルが14まで上がっていた。

 これに関しては、彼女の持つカードの中で、(ランク)3という現状ではもっとも強いランクのカードを呼び出すためには、本人のステータス(主に最大MPの値)が足りなかったので、私が(ポイント)を渡してレベルを上げてもらった。

 そこまでレベルを上げたことで、彼女は(ランク)3のカードもなんとか召喚できるようになった。

 さらには、彼女の武器である——なんか“プレートバングル”とかいう名前らしい——例の左腕の装置についても、現時点で可能な範囲ですでに色々と改造済みだ。


 諸々の作業には中々の量の(ポイント)を渡すことになったけど、私はまったく後悔していない。

 なぜなら、それだけのことをするに相応しい能力を、彼女は有していたので。


 彼女の能力は、大まかに言うとカードを召喚するというものだが、召喚できるカード自体が、たくさんの種類があった。

 チュートリアルの武器選択によって手に入ったカード——いわゆる初期デッキのカードの枚数が、61枚。

 大きく分けて七つの種類があるというカードの、その種類別の数と大まかな説明をすると——


 ・【星兵(サモンスター)】「15枚」——これは、要はユニットのこと。いわゆる召喚獣のような、実際に戦わせたりする対象を呼び出す。その対象の種類は千差万別で、人型、獣型、魔物、機械、幻獣……などなど、色々あるっぽい。


 ・【魔法(マジック)】「15枚」——魔法カード。使用すると魔法を発動できる。


 ・【特設(ギミック)】「11枚」——兵器、建造物、陣地、生産装置、罠、さらには局所的な天候操作など……の系統、らしい。


 ・【武装(アームズ)】「8枚」——主に星兵(ユニットカード)に装備させることで、その能力を強化することができるカード。


 ・【道具(アイテム)】「8枚」——色々なアイテムを呼び出せる。アイテムの種類も様々で、回復アイテムのようなものから、乗り物のようなものまである。


 ・【領域(フィールド)】「0枚」——現状は一枚も無いのでよく分からないが、おしなべてランクが高くて強力な効果のカードらしい。


 ・【特殊(エクストラ)】「4枚」——他にはない特殊な効果のカード。


 てな感じらしい。


 正直なところ、私も全部は確認していないし、そもそも説明を聞いてもよく分からないものもあったので、すべてを把握しているわけではない。

 ただ、マユリちゃん自身はすべてのカードを知っているようで、効果についてもちゃんと把握している様子だった。


 なので私は、基本的にはマユリちゃんの意見に従いつつ、自分の意見もちょいちょい挟みつつ——で彼女の能力を検証していった。


 そもそも、マユリちゃんがカードを召喚する際にはMPを使う。

 そして、呼び出した対象の召喚を持続させるには、これまたMPを(少しずつだが)消費し続ける。

 なので、レベルを上げたことで強力なカードを召喚できるようになったからといって、いくらでも無制限に呼び出せるわけではないのである。


 ……しかし。

 しかしである。

 マユリちゃんのカードの中には、その仕様すら()()()()()カードが存在した。


 それがこのカードである。



 【燃料棒(エナジーバー)

 種類(タイプ)——「道具(アイテム)

 等級(ランク)——「1」

 個数(カウント)——「12」

 ——ST(ステータス)——

 AP(アクションポイント)——「100(回復)」

 ——FT(フレーバーテキスト)——

 【もっとも基本的なAP(アクションポイント)回復アイテム。星兵(サモンスター)はもちろん、ほぼすべてのカードのAP(アクションポイント)を回復させるのに使える】



 さらにはこのカードである。



 【燃料棒の畑エナジーバー・ガーデン

 種類(タイプ)——「特設(ギミック)

 等級(ランク)——「2」

 設営(ターン)——「2」

 収穫(ハーベスト)——「12×30〜」

 ——ST(ステータス)——

 LP(ライフポイント)——「1000」

 防御(ディフェンス)——「500」

 ——FT(フレーバーテキスト)——

 【燃料棒(エナジーバー)が収穫できる畑。過酷な環境でもたくましく育ち、手入れもほとんど要らない。ただ、きちんと手をかけてやれば、それだけ収穫量は増えるのである。※地面の上にのみ設営可能】



 えー、それで、カードについてなのだけど、どうやら自分で活動するタイプのカードには、AP(アクションポイント)というものが設定されているらしい。

 んで、そういうカード達は、自前のAP(アクションポイント)を使うことで、召喚者であるマユリちゃんのMPを使わなくても活動が可能みたいなのだ。

 つまり——このアイテムを上手く生産できれば、実質的にMPを使うことなく召喚を持続させることが可能になるのである。


 ここでの問題は二つ。

 一つは、この畑のカードのような一部のカードには、AP(アクションポイント)が存在しない場合がある、ということ。

 そういうカードの場合は、マユリちゃんがMPを供給することでしか、(基本的には)召喚を持続させる方法がない。

 もう一つは、そもそもこのAP(アクションポイント)を回復させるアイテムを作ること自体にも、なんらかのリソースが必要になる、ということ。

 当たり前の話だが、これを作るのに必要なMP(などの費用(コスト))が、作ったアイテムの効果を上回るような場合は、本末転倒なのである。


 だが、それらに関しても問題なかった。

 まず一つ目の問題については、()()が解決してくれた。



 【妖精の家政婦(フェアリーメイド)ポエミー】

 種類(タイプ)——「星兵(サモンスター)

 等級(ランク)——「2」

 種別(カテゴリ)——「幻想種(ファンタズマ)

 特技(スキル)——「精霊魔法(スピリットマジック)」「家事技術ハウスメイド・テクニック

 特性(アビリティ)——「家庭管理(ハウスキーパー)

 ——ST(ステータス)——

 LP(ライフポイント)——「500」

 AP(アクションポイント)——「1700」

 攻撃(アタック)——「1500」

 防御(ディフェンス)——「400」

 速度(スピード)——「1」

 射程(レンジ)——「2」

 ——FT(フレーバーテキスト)——

 【家事に特化した能力を持つ妖精。ぬいぐるみサイズで背中に羽根があり、宙に浮くことができる。戦闘はあまり得意ではないが、その分、支援能力に特化しており、家の管理においては右に出るものはいない。※特定の特設(ギミック)系カードの管理をすることができる】



 彼女のFT(フレーバーテキスト)に書かれている特定の特設(ギミック)系カード——これに該当するのが、先の畑のカードなのだ。

 というわけで、畑に関しては、この妖精ちゃんに任せておけば問題ない。

 具体的にいうと、この妖精(ポエミー)ちゃんのAP(アクションポイント)を使って、畑の召喚を維持できるのである。


 そして、この妖精ちゃん自身は、畑から取れるアイテム——燃料棒(エナジーバー)によって、自分と、それから畑を維持するのに必要なAP(アクションポイント)を回復できると、そういうわけである。

 や、なんか、普通に維持に必要な分以上の収穫が取れる感じっぽいので、なにやらそんなよく分からない永久機関じみた芸当も可能だった。

 つーか、畑から取れる収穫の量は、妖精ちゃんに(とど)まらず、他にも何体も召喚して維持できるレベルだった。


 と、いうわけで——

 その数に収まる範囲でなら召喚を維持できそうだと分かったので、とりあえず、その範囲に収まる中で他にも色々と召喚してみることにした。



 まず呼び出したのは、召喚に時間がかかるという特設(ギミック)系のカードである“燃料棒の畑エナジーバー・ガーデン”だ。

 設置する場所をどうするかでちょっと悩んだのだけど……とりあえず、体育館の近くの地面のある場所に設置することにした。

 その場所まで移動してカードを使ってみたところ——パァッと光が出たのはいいんだけど、すぐに畑が出てくることはなくなんか光ったままで……確かに時間がかかるっぽい感じのアレだった。


 なのでそれはひとまず置いておいて、次に召喚したのが、“妖精の家政婦(フェアリーメイド)”のカードだ。

 畑の管理をできるというこの妖精ちゃんだが、そもそも畑の設営にかかる時間も短縮させることもできるらしいので、それをやってもらおうというわけ。


 呼び出された妖精ちゃんは、見た目はまんま、背中に羽の生えた小さな人間って感じの子だった。

 大きさは、手乗りサイズよりは一回りほど大きいといったところだろうか。

 彼女は、言葉を話すことこそなかったが、仕草などはまるっきり普通の人間のそれで、ちゃんと意思や感情も持ち合わせている様子だった。

 実際、マユリちゃんとは、「念話」のようなもので意思の疎通ができているらしい。

 他の人と念話することはできないみたいだけど、でも、こちらから話す内容は普通に理解できているみたいなので、あとは向こうが身振り手振りで意思を伝えてくれれば、わりとコミュニケーション取れる感じではある。


 そんな彼女にとりあえず畑を任せて、お次に召喚したのが、“秘密の地下室シークレット・ベースメント”だ。

 ——まあ、発動に時間がかかる特設(ギミック)系を先にやっておこうという感じ。

 これを設置する場所も迷ったんだけど……そもそもこれは、いざという時の避難場所(シェルター)として使おうと思って選んだので、設置する場所はおのずと絞られる。

 というか、現状ではそこしかなかったので、選ばれた場所は、体育館の——体育倉庫の中ということになった。

 まあ、いざという時にみんなを避難させるのだから、現状では、みんなが居る場所である体育館の内部がベストなのだ。


 このカード、説明書きの通りに、マジでわりとどこにでも設置できるみたいで、体育倉庫の床に入り口を作るように設置することも可能だった。

 なんでも、使ってみた所感として、マユリちゃんの言うところでは——この地下室とやら、どうやら一種の異空間的なやつのようで、実際に地面を掘って作られるわけではないらしい。

 なのでまあ、普通に体育倉庫という室内の床にだろうが、普通に使えるというわけ。


 そんな何気にヤバい“地下室”の次に呼び出したカードが、これだ。



 【勤勉な自律型重機インダストリー・ヘビーオートマタ

 種類(タイプ)——「特設(ギミック)

 等級(ランク)——「2」

 設営(ターン)——「1」

 ——ST(ステータス)——

 LP(ライフポイント)——「1500」

 AP(アクションポイント)——「1800」

 防御(ディフェンス)——「1300」

 ——FT(フレーバーテキスト)——

 【建設用の大型の自律機械。戦闘能力は持たない。非常に勤勉で、命令に従い休むことなくよく働く。それは機械だから当たり前——ということではなく、ひとえに本人(本機)の性格によるものである。※特定の特設(ギミック)系カードの管理をすることができる】



 このカードこそが、地下室の管理をすることができるカードなのだ。

 ——コイツのAP(アクションポイント)により地下室の召喚を維持することができて、コイツ自身は、例の燃料棒(エナジーバー)とかいうアイテムで召喚を維持できる。

 なので、呼び出したコイツにはさっそく、地下室の設営を促進してもらっている。

 まあコイツ、見た目はなんと言えばいいのか……なんか、キャタピラの脚の上に人型の上半身が乗っている、みたいな感じの姿なんだけど——いや、デカいんだよね、そのサイズが。

 なので、普通に体育倉庫には呼び出せなかった。


 ではどうしたのかというと……まあ、普通に体育館の外に出すしかなかったんだけど。

 や、でも、なんかそれで普通にオッケーっぽい感じだった。

 なんか、体育倉庫の場所自体が、体育館の中でも外側にあって、んで、そこから一番近くの(体育館の)外にコイツを出したら、普通にそっから体育倉庫の中で設置中の地下室までちゃんと能力が届いてるっぽかったというか。

 よく分からないけど、外からでもいけるっぽい。


 まあ、そんな感じで……今は畑と地下室を設置中で、それを管理する妖精と重機も召喚したという感じ。

 とりあえず、特設(ギミック)系とその管理者はこのくらいにして、お次はいよいよ、一番気になっていたやつを召喚することにした。


 今回の召喚のメインといえるそれは、マユリちゃんの能力の主力となるであろうカード——すなわち(ランク)3の星兵(サモンスター)カードだ。

 五枚あるという(ランク)3の中で、選んだカードは……“可憐な魔法少女プリティマジックガールシャイニー”というカードだ。

 いやぁ、やっぱりコイツが一番気になったからさー。


 だって、人型だよ、人型。

 というか、カードの絵を見る限り、見た目はまんま普通の人間だから、この人。

 ——や、まあ、派手な魔法少女の格好はしてるけどさ……


 てかマジで……召喚して現れるのは、一体どんな人なんだっての……?

 めっちゃ気になるじゃん……!


 二通(ふたとお)りのパターンがあるんじゃないかと思う。

 つまりは——ちゃんと自我というか、自分の意思や感情があるのか、ないのか、という。

 なんか、NPCノンプレイヤーキャラクターみたいに、特定の反応しかしなかったり、命令をただ聞くだけみたいな、あくまでそういうキャラクターを演じる存在——みたいな感じのアレなのか。

 あるいは——普通の人間とまるで同じような、自分の意識や感情を持ち合わせているタイプなのか。


 正直、可能性としては……どうだろう、常識的に考えたら、いうて前者のパターンなんじゃねーの、って思うところだけど。

 や、だって、後者のパターンだったとしたら、マジでヤベーじゃん。

 いやそれ、フツーに、人間を生み出してるってことになるくない? っていうか。

 いくらなんでもそれは……ヤバすぎない? っていうか。


 ……や、でも、すでに呼び出した例の妖精ちゃんとか、喋りこそしなかったけど、あの子もあの子ですでにかなり普通に人間っぽいレベルの雰囲気してたけど。

 つーかあの子、マユリちゃんとは普通に意思の疎通できてるらしいし……いや、それがどのレベルのアレなのかは分からないんだけど……

 ただ、見た感じだと、この妖精ちゃん自体が、すでに自我のある一人の人間のレベルな気がする、っていうか……


 …………。


 ……まあ、考えてても仕方ないよね。

 結局、呼び出したら分かることなんだし。


 ……よし、それじゃ、魔法少女の召喚——


 いっちょ、やってみますか……!!

 

 

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