オーパーツなふたり
オーパーツ。
それは発見された場所や時代にはそぐわないもの。
極論すれば、そこに存在してはならなぬもののことである。
当然ながら本物のオーパーツとは手に入れられることができないどころか、お目にかかることすら困難なものだと言ってもいいだろう。
だけど、僕は毎日見ている。
正真正銘のオーパーツと呼べるものを。
もっとも、僕の目の前にあるそれは「物」ではなく「者」なのだが。
僕が毎日見ているそのオーパーツ。
それは……。
九条薫子。
十八歳。
つまり、女子高校生。
さらにいえば、僕のふたつ上の先輩。
そして、彼女は僕が誘われるままに入部した我が校の弱小クラブの代表である文芸部部長兼ふたりしかいない部員のうちのひとりである。
さて、その九条先輩がオーパーツであるという根拠であるが、それは……。
まず美人である。
それも圧倒的な。
これは僕だけの意見というわけではなく、文化祭のドサクサに紛れて毎年こっそりとおこなっている「我が校一の美人は誰か選手権」で三年連続一位になっていることから証明されている。
もちろん顔だけではない。
ナイスボディ。
もちろん僕は制服の中身を拝んだことなどないのだが、九条先輩の水着姿をこっそり覗き見したという某先輩によれば見事な曲線を描くパーフェクトボディとのこと。
さらに三年間学年トップを維持しているのだから、学業も優秀である。
ここまで来ると、お約束として待っているのは、性格がねじ曲がっているとか、人に言えない特別な趣味があるとかという裏の顔の存在なのだが、九条先輩はそのようなものとは無縁。
つまり、九条先輩は真に完璧な存在なのである。
そして、あり得ないくらいの完璧な存在である彼女がこうしてここにいる。
オーパーツの要件は十分に満たしているといえるではないだろうか。
さて、ここでひとつ告白しなければならないことがある。
……九条薫子と放課後を過ごしているのが凡庸なおまえというのがおかしい。
……しかも、二人っきり。
……あり得ない。
……いや、あってはならんことだ。
……つまり……。
……これはオーパーツ案件。
そう。
実を言えば、九条先輩とは真逆の意味ではあるが、僕は学校内でオーパーツと呼ばれている。
まあ、状況を考えれば確かにその言葉は正しいといえるのだが。
明日は卒業式。
つまり、今日が九条先輩と過ごす最後の日。
いつもどおり何もない。
……そのはずだったのだが……。
唐突に先輩の口が開く。
「……上杉君。私……」




