ハリーの正体がわかる
すると、いつの間にかハリーが私の横に立っている。え? ちょっとびっくりさせないでよ? ここは今は戦場。
「ハリー? あなたは本当に中身は誰なの?」
私の言葉にハリーは笑みを浮かべてこう言う。
「仕方がない。ヴィクトリア、貴女は前世で友だちのバイクで間違えて車道に飛び出して交通事故によって死んだ。合っているよね? うーん。そうだね。ヴィクトリア、前世で貴女にバイクを貸したのは私だよね? 私はそのことで自分をすごく責めた。そして、私も貴女のことを追って死んだ。ヴィクトリア?」
私はその言葉で、今ここに居るハリーの中身の女性が誰かがわかった気がする。ひょっとしたら。
「ハリー? 私は別に前世のバイクの交通事故死のことでは恨んではいないよ。ただね、私のあとを追って死んだのは、私のせいでだよね?」
私は涙が止まらない。ここに居るハリーの中身の女性も私と同じくしてこの乙女ゲームに転生してきたのだ。
「ううん。そんなことはないよ? だって、私もこの乙女ゲームの世界に転生出来て嬉しく思っているよ。泣くな、ヴィクトリア」
私は涙が止まらないけど、前世の友だちと再会出来て嬉しく思っている。私はひとりじゃなかった。私は今はヴィクトリア。横に立っているハリーの中身の女性は前世の友だち。私、もう泣かないよ。
「どうしてわかったの、ハリー?」
「なんとなくね。ヴィクトリアと保健室で一緒に寝たのは、やっぱり貴女がこの乙女ゲームに転生した。という確信があったから。ヴィクトリアを見ていたら、前世の貴女の様子にとても似ていたからね」
ハリーは笑顔。私も笑顔になった。
続く




