サム王子、再び
朝だ。私は貴族学校への道を歩いている。衛兵のマイケルのことを考えている。なんだか大切な人のことを思うって、スゴく心が温かくなる。私はマイケルに抱きしめてもらった感覚をしっかり覚えている。私は自然と笑顔になる。私は悪役令嬢だけど、衛兵のマイケルのことが好き。
「おや、ヴィクトリアじゃないか?」
私は声の方を見た。あれ、サム王子だ。どうしたのだろうか?
「これはこれは、サム王子。どうなさったのですか?」
「いや、オレは貴女に会いに来ました」
え? どういうわけかしら? サム王子はハンナと仲がいいはずよね。それなのに、私に会いに来ました? いったいどういうことかしら?
「オレは、やっぱりヴィクトリアのことを好きなんだ」
「え? サム王子はハンナと仲がいいのでは? それに、私には大切な人がいるので」
私は立ち去ろうとした。すると、サム王子が私の手をにぎってきた。え? は? ちょ? なにかしら?
「ヴィクトリア? オレが貴女の大切な人になることは出来ないのか?」
「困ります、サム王子。私は大切な人がいるので」
すると、サム王子は私の手を離した。そしてサム王子はこう言った。
「オレは、いつかヴィクトリアの大切な人になりますよ。オレはやっぱりヴィクトリアのことが好きなんだ。それでは」
そう言ってサム王子は去った。うーん、困ったわ? ハンナとサム王子が仲がいいのに、まさかサム王子は私のことを好きだなんて。え? それじゃあハンナはどうなるのかしら? ぶっちゃけて、私はサム王子はどうでもいいって思っている。そもそも、やっぱりサム王子は浮気者なんだわ。どうして、サム王子はハンナを大切にしないのだろうか。私には理解が出来ない。うーん、このことはハンナには言わないでおこう。私とハンナは友だち。傷付けたくないから。
続く




