そのあとのこと
家の私の部屋にて。私はひとりベッドで横になっている。うーん、あのあとは、ジョンとアランに呼び出しをくらったなあ。散々な目にあったわ。うふふ、でも、12才の男の子同士の関係の妄想は楽しかったわ。あ、ジョンとアラン、それにしてもまだハンナのことが好きなのだよね? まあ、それはどうでもいいけどね? はあ、それはそうと衛兵のマイケルとメイドのランが仲がよさそうなのを私は見てからなんかがおかしいな。私はどうしたらいいのだろうか。マイケル、大切な人、でも、私は悪役令嬢。
「ヴィクトリア様、入ってよろしいでしょうか?」
あ、マイケル? えっと、ふん! 何よ? あんなにメイドのランと仲良くしちゃって! あー、でも、私はマイケルのことが。
「どうぞ~?」
私は気付いたらそう返事をしていた。マイケルが私の部屋に入る。はあ、マイケルとランはそういうことだよね。うーん、私は早くマイケルに出ていってほしいかな。
「なんの用かしら?」
私は冷たくマイケルに言った。
「いえ、ヴィクトリア様のお父様から、ここにいるようにと言われましたので」
ふーん? 衛兵のマイケルって本当に退屈な人ね。私の気持ちも知りもしないで。はあ、あの胸キュンはなんだったのかしらね? さて、帰ってもらおうかな。
「マイケル? あなたはイチイチ私のお父様の命令で動くよね? もう、やめてちょうだい?」
本当はわかっている。私がマイケルにそう冷たく言う理由が。あれ、おかしいな。私、胸が苦しいね。
「いけません、ヴィクトリア様。自分はヴィクトリア様をお守りしますよ。たとえ、貴女がイヤだと言ったとしても」
私は胸がズキッとなる。何よ、衛兵のクセに。
「ヴィクトリア様は、大切な人なのです。自分はヴィクトリア様だけをお守りします」
もう、やめてちょうだい。私は悪役令嬢。私はこの乙女ゲームで死んでしまう運命なのよ? 私がマイケルをいくら思ってもダメなのよ。だから、私は。
「マイケル! 早く帰ってちょうだい!」
「それは出来ません!」
「なんでなのよ!?」
すると、マイケルは私を抱きしめた。え? どういうわけなの?
「ヴィクトリア様、自分は衛兵です。でも、貴女を守るのは、この衛兵、マイケルとしてではなく、ひとりの男としての意味です。だから、自分はヴィクトリア様のことを離しません。絶対に。だから、貴女と一緒に居たい」
私はわけがわからないまま泣いていた。バカ! マイケルのバカ! マイケルのクセに! 私の気持ちなんて、これっぽっちもわかっていないクセに! 本当にマイケルのバカ!
「ヴィクトリア様、今だけはこうしていたい」
「……バカ、マイケルのバカ」
続く




