どっち?
「ヴィクトリア、悪役令嬢の貴女は、最後はゴースト術を使うも死んでしまうのですよ」
ハリーがそう言って、私はドキッとする。ハリーはニコニコしている。私は何か心に冷たいものが現れる。心臓がドクッドクッと高鳴る。ヤバい。ここでビビってはいけない。しかし、ハリーの突然の一言。それで私の心に何かが重たくのしかかる。ハリーの中身の女性はこの乙女ゲームの内容をよく知っている。私は何か言おうとする。だが、私は何も言えない。
「まったく、ヴィクトリア。ボクは貴女と手を組むとしても、貴女の破滅を待つわけではない。ボクの邪魔だけはしないでほしい。私はこの乙女ゲームを楽しみたいだけでね」
そう言ってハリーは部屋を出ていった。部屋に残された私は、まだ心臓がドクッドクッと高鳴る。汗も出てくる。どうしよう。私はやっぱり破滅するのを待つ身なのかしら? どうやっても破滅する運命なの? どうしてハリーの中身の女性はそんなことを言えるの? 私は恐らく破滅に近づいている。どうしてもハリーの正体、誰なのかを知りたいけど、全く勝てる気がしない。私は部屋にひとり残された。私は本当に破滅するのだろうか?
続く




