え?
すると、衛兵のマイケルが剣を抜いた。ん? 相手はナイフだけど、盗賊が十人はいる。ああ、馬車の中に隠れて状況を見守っている私は生きている感じがしない。ヤバい、私、盗賊に見つかったら破滅するんだろうか? いやいや、私がゴースト術を使っても、恐らく数で負けてしまう。うーん、この乙女ゲームの内容を思い出せないまま、私は破滅するのかしら? え? ひどくない?
「へへへ、やっちまえ!」
盗賊のひとりが衛兵のマイケルに斬りかかる。マイケルはひょいっとかわす。ヤバい、盗賊たちが一斉にマイケルに斬りかかる。私、そろそろ逃げようかな。ヤバい、盗賊たちが数で勝っているから、マイケルが不利なのだ。私は馬車の中に隠れて状況を見守っている。マイケルはまだ盗賊たちの攻撃をかわすだけで一切反撃をしない。ん? マイケルって実は強いの? でも、マイケルが反撃をしないのはどうしてかしら?
「このやろう、そろそろ斬られやがれ!」
その時だった。マイケルが盗賊のひとりを斬る。あれ? あのかたすぎるマイケルがちょっとカッコよく見えてきたけど? あれ? 衛兵のマイケルって実はすごいのかしら? 段々とマイケルが反撃をして盗賊が倒れていく。ヤバい、盗賊があっという間にひとり残らず倒れた。マイケルは馬車に近づいてくる。そして、マイケルは私にこう言った。
「ヴィクトリア様、ご無事ですか?」
私は胸キュンした。あれ、マイケルって話し方はかたすぎるけど、すごく頼りになるのね。私はドキドキして何も言えない。マイケルは馬車に乗る。それから、お父様とお母様が戻ってきて、いつも通りのように馬車を走らせる。私と衛兵のマイケルの視線がずっと合っている。私、ドキドキしてどうしちゃったんだろう?
続く




