破滅?
か、会話がもたない。えーっと、衛兵のマイケルと馬車で二人きりなのだけど、マイケルがかたすぎる。私のことをヴィクトリア様と言う。呼び捨てにしていいのに。マイケルからは言葉が出ない。私から話しかけている。ああ、早くお父様とお母様、戻ってきて!
「お父様とお母様、遅い」
「ヴィクトリア様、お父様とお母様はどうやら話が長くなりそうですね」
うーん、この衛兵のマイケルのかたすぎる話し方はどうにかならんのだろうか? あーあ、ひまだなあ。私は外をぼんやりと見ている。なによ、この衛兵。こんなのより、友だちのハンナとお茶をしている方がいいわ。でも、本当にこの乙女ゲームの内容を思い出せないわ。うーん。ん? あの人々はなんなのかしら? え? 盗賊?
「マイケル? あれは盗賊かしら?」
「そのようですね、ヴィクトリア様。しばらく、この馬車の中にいてください」
え? ちょっと!? 盗賊は十人はいるのだけど? 大丈夫なの!? マイケルがひとりで盗賊の方に向かっていくけど? どうしよう、お父様とお母様を呼ぶべきかしら?
「我が名は、マイケル・シールド。なんの用だ?」
「へへへ、ヴィクトリアって娘はいるのかい?」
え? は? ちょ? ひょっとしたら、私、破滅するのかしら?
続く




