衛兵、マイケル・シールド
今日は貴族学校は休みの日。私とお父様とお母様の三人で貴族街に用事がある。ちなみに、衛兵のマイケル・シールドが馬車に一緒に乗る。私は馬車にゆられながら外をぼんやりと見ている。貴族街とは、貴族ばっかりが住んでいる街のことだ。たぶん、今日は貴族の交流会か何かだろう。こういうことは思い出せるのに、大事なこの乙女ゲームの内容は思い出せないまま。うーん、それにしても衛兵のマイケルがすごく私のことを見ている。まだ若そう。何を考えているんだろうか?
「ヴィクトリアはちょっと馬車で待っていなさい。マイケルも一緒にだ」
お父様がそう言って、お母様も馬車から降りて、二人はとある貴族の家に入った。え? 私はこの衛兵と馬車で二人きりなの? というか、衛兵のマイケルはさっきから無言でいる。なんだかちょっと怖い。えーっと、私はこうマイケルに言った。
「マイケル? いま何を考えているの?」
「はい、ヴィクトリア様をお守りするべく、衛兵としてのイメージトレーニングをしています」
か、かたすぎる、この人。
「あの、マイケル? 私のことはヴィクトリアって呼んでもらっていいのよ?」
「そうはいきません。ヴィクトリア様を呼び捨てにするなど」
ヤバい、この衛兵のマイケルはちょっとかたすぎる。
続く




