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ヴィクトリア・ダイヤ

挿絵(By みてみん)


 私は自分の部屋にひきこもっている。これから、どうしよう。いくら、考えても答えは出てこない。そもそも、この状況がわからない。考えても考えても、理解が出来ない。私の姿が鏡にうつる。金髪でロングで青い目。キツそうな目つき。私の名前は、ヴィクトリア・ダイヤ。なにを隠そう、乙女ゲームの悪役令嬢になってしまった。そもそも、こういうわけがわかったのは、貴族学校で火魔法の爆発によって頭を地面に打って前世の記憶が戻ったから。そして思い出したのは、前世の最後が、友だちのバイクで間違えて車道に飛び出して交通事故死。なんて言うか、この乙女ゲームは前世でやっていたわけで。転生? 出来たのはそれはそれでいいんだけど、なんで悪役令嬢になってしまったの? わけがわからない。

 とにかく、ときめかない、キュンとしない、それが私のルール。さもないと、この乙女ゲームで破滅を迎えてしまう。

「おーい、大丈夫かぁ?」

 そう言っていきなり私の部屋に入って来たのは、ジョン・アート、貴族学校に通う同い年の12。

「ちょっと、勝手に入って来ないでよ?」

「ゴメンゴメン!」

 そう言ってジョンはヘラヘラと笑っている。この男の子は普段は意地悪である。私が頭を地面に打っていた時でも、ジョンは爆笑していた。その時のイライラは忘れられない。

「何しに来たのよ?」

「いやー、大丈夫かなぁと思ってさ?」

 どの口が言うか? あんなに爆笑していたクセに? 私はまたイライラが出始めた。

「帰って!」

 私は強めに言った。

「まだ具合が悪いのかよ?」

「そうよ!」

 私はこのジョンがキライだ。何を考えているのかがわからない。それに、ジョンはヘラヘラとしている。

 すると。

「ヴィクトリア? 学校でみんなが待っているよ?」

 と、私の頭を優しく撫でてきた。

 ハア!? なによ!?

 私はびっくりして何も言えない。それから。

「さあ、行こっか?」

 と、私の手を優しくつかんで、ジョンは私を部屋から連れ出す。私がちょっと胸キュンしてしまったのはくやしい。でも、ジョンの手はとても温かかった。


続く

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