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Page 04:「死神」


混沌カオス狂気バーサク時間パーリィータイムは長らく続いたが、しばらく経った頃、正確に書くならば、2時間48分31秒経った時には既にないと虹空にあは正気を取り戻していた。剣はベッドに座って上の空になっており、虹空は床に紙を敷いてクレヨンでパンダの絵を描いていた。




「・・・・・・ようやく落ち着いたみてェだな。改めて言おう。オレ様は死神のリ・ユーク。お前の持ってるノートの持ち主だ。」




死神は二度目の自己紹介をした。




「・・・・・・んぇぁ?あっ、すいませんっ。聞いてなかったです。。。」




「テメェ・・・・・・。」




剣はぼうっとしていたので、話を聞いていなかった。ほんの少し苛つきを覚えた死神リ・ユークだったが、ここは大人としての自覚でもって堪えることにした。といっても、少しだけ口から洩れてしまったが。




「・・・・・・ところday、ナイトきゅんは今ダレと話してんのかな???」




虹空はお絵描きをしていた手を止め、剣の方を振り向いた。パンダの絵は、ある程度は完成しているようであったが、その絵はパンダというより、九州地方の有明海に棲息するハゼ科の魚:ワラスボのようだった。


そういえばこのおかしな野郎にはオレ様の姿は見えてなかったか・・・・と死神は思い出し、呆れ混じりの溜息を洩らした。




「・・・・・・ナイト、こいつにノートを渡してやれ。」




「・・・・えっ、ノートって一体何の、ていうか何でオレの名前」




「いいから早く。」






死神に強いられたので、仕方なく虹空にノートを渡した。










虹空に手渡されたのは、紛れもない・・・・・・




















ジャポ⚫︎カ学習帳だった。











「・・・・・ジャっポニっカジャンwwwwケンwwwwジャっポニっカちょきーwwwwwwグーで勝ったら気分はGoodグーwwwwwジャっポニっカがっくしゅーちょwwwwwwwww」




虹空は、ジャポ⚫︎カ学習帳の表紙を見てしまったがために、10年前、それも虹空がまだ義務教育を終えていない小学生フレッシュ・チェリー・ボーイだった時に見た当時のCMが脳裏に条件反射的にフラッシュバックし、それを彼なりの表現方法で再現してしまったのだ。余談だが、小学一年生だった時に同級生が『ムツゴ⚫︎ウ学習帳』というノートを持っていて、その同級生が「このムツゴ⚫︎ウっていうのは、動物を研究しているおじさんの名前からとったんだよ!」と言い抜かしやがったので、当時ピュアだった7歳の頃の虹空は「ということは、ジャポ⚫︎カ学習帳はジャポ⚫︎カっていう人がいたからそんな名前にしたのか。」と本気で思っていたなぁと至ってどうでもいいことも思い出してしまった。






「テメェ・・・・わざとやったなァ!?」




死神は、剣の胸倉を掴み上げた。凄まじい力なのか、剣は宙に浮いた状態のまま足をパタパタさせている。さすがの死神も、大人の余裕より、死神としてのプライドに傷をつけようとする者への怒りが勝ってしまったのだ。




「な、なんで!?ノートといったらジャ⚫︎ニカ学習帳じゃないですか!!!それともC⚫︎mpusのノート渡した方がよかったんですか!?」




「そういうことじゃねェんだよ!!!!普通のノートじゃなくて!!お前が!!道端で!!拾ったノートを渡すんだよ!!!!」




死神は片手で持ち上げた剣を大きく揺さぶり、ベッドに放り投げた。






「次ふざけるようだったら今度は容赦しねェからな・・・・お前の頭にゲンコツが10回降ってくると思え・・・・」






さすがにゲンコツを10回も喰らうのは避けたい。知らない相手からいきなり暴力を振るわれる点でも不快だし、何よりもあの力でゲンコツなんか喰らってしまったら、大きなタンコブができてソテーにして食べてしまいそうだ。しかし、剣は困惑した。確かに学校帰りの道端で何かを拾ったのは事実だが、決してノートと言えるような形ではないのだ。拾ったのはボイスレコーダーのような古びた機械と、それについての説明書だけである。かろうじてこの真っ黒な冊子である説明書はノートっぽいのだろうか・・・・いや、説明書に「この機械はペ⚫︎スノートです。」と書かれていたんだから、きっとこの機械をノートだと言っているのだろう。あの可笑クレイジーな死神さんは。






「何か・・・・言いたげなみてェだな?ん?」






剣の心の声が、ほんの少しばかり死神に伝わってしまったようだ。こちらを睨む目が、徐々に殺意に近いものが含まれていくのをどこかで感じた。いよいよ本気で危機感を抱いた剣は直様ペ⚫︎スノートとその説明書を虹空の近くに放り投げた。




「え、え?何コレ???掘り出し物的なSomething?」




「いいから!早くそれに触って!!じゃないとオレ死神にゲンコツ喰らわされるゥーーーッ!!!」




焦る剣を目にし、このまま死神(見えてないし、いったい死神が何のことなのかわからないけど。)からゲンコツを喰らう剣を見るのも面白そうだなぁと思ってしまったが、さすがにそういう訳にもいかなかったので、渋々、謎の機械とその説明書を手にした。






すると、虹空の目の前には、右手に鎌を持ち、黒いフードを身に纏っている骸骨男が現れた。なるほど、これが剣が言う”死神”ってヤツか。虹空はようやく腑に落ちた。




「まぁ、びっくり!・・・・ところでこの機械と冊子は一体なんなのん???」




「テメェ、ナイトとは違って全然怖がらねェみたいだな・・・・」




それに、さっきまで見えてなかったクセになんでパニックってたんだ??・・・・と聞き出そうとした時、死神はふと気づいた。






「・・・・テメェさっき、”機械と冊子”って言ってたな。」




「うん、言った。」






死神を初めて目にしたのにも関わらず、冷静かつ塩対応な目路人 虹空先輩パイセン






「ノ、ノートじゃ、ねェのか・・・・?」




先程までの強気な態度とは一変し、死神はオドオドしていた。そりゃそうだもん。だって人間違まちがいである可能性がいま90%くらいに跳ね上がってるんだもの。




虹空先生は冊子を手にし、書かれてある文字を口にした。






「”ペ⚫︎スノート”って書いてあるけど。・・・・ていうか”⚫︎”の部分読まないんか。紛らわしい。」






「ペ⚫︎スノート?・・・・・”ペ⚫︎スノート”!」




いま、死神は何かを思い出したようだ。それと同時に湧きでた感情は、まるで夏の終わりのいつもの遊び場からの帰り道、坂の上にいた白いワンピースの女の子を眺めていたら、そよ風でたまたまパンティーが見えたのが未だに忘れられないあの感じなのか、それとも原っぱでゴロゴロしていたらカマキリのたまごを見つけたので突っついて遊んでいたら、ちっちゃいカマキリの幼虫がウジャウジャと出てきてすごいトラウマになったあの感覚のようなのか、どちらなのかよくわからないし、筆者も大して考えないで書いているから正直どうでもよい。






「ククク・・・・ククククク・・・・!」




死神は、不気味に笑い始めた。この奇妙な笑みは、一体何を意味するのか。不穏な空気が漂い始めた。








「おやおやかわいそうに、あたまをおかしくしてしまったんだね。」




「そうだ、ぼくがいっしょにびょういんへいってあげるよ。」




不穏な空気を容赦なくぶち壊す虹空と剣。この時、死神の中で何かが切れた音がした。決定的な何かが・・・・これは、堪忍袋の緒が切れた音だァーッ!




数秒もしないうちに、2人の頭に制裁が下される乾いた音が響いたのは言う間でもない。




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