表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

第6話 努力と才能

今回は、エルサとエースの考え方の違いみたいな部分を書きました。

また短くなってしまいましたが、次回はもう少し長めに出来ればと思ってます。

 闘技場--

 そこはギルド同士の対戦や、個人のランクマッチを行う場所であると同時に、色々な人と対戦できる場所だ。ほかのギルドの人や知らない人とでも双方の同意があれば、対戦することができる。


 そこにはエースとエルサが向かい合っていた。

 --ただよう緊張感

 3.2.1 始め、周りにいたギルドメンバーが合図を送る。


 エースはガチガチの近距離タイプ。大剣から放つ斬撃は10m程度飛ばすことが出来るが、溜めが必要なため素早いエルサには多用できない。


 一方のエルサはナイフを投げたり、遠くからチクチクと攻撃しているが、エースの着ている鎧を貫くほど強い威力を発揮するわけではないため、距離を詰め手数で上回り鎧の隙間を狙う、という風にスタイルを変化させている。


 この2人の戦いは、エルサはエースに対して相性が悪いためいい勝負になってはいるものの、戦闘スタイル、装備の充実度はエルサの方が上である。勝率は6:4でややエルサが優勢といったところか。


 エースの振るう大剣は威力が高いため真正面から斬りむすべば、小さな短剣では威力を殺しきれず簡単に押し切られてしまう。

 エルサはエースの大剣をスルりと受け流しながら小刻みに短剣で攻撃していく。


 しかし、ここでエースが大剣を途中で止め、方向を変える。勢いよく振るった剣を止めて、方向を変えてまた振るうなんて芸当は相当な筋力がないと出来ない。普段のトレーニングの賜物である。


 ここで受け流そうと準備していたエルサの反応が一瞬遅れる。受け流しきれずエルサの体が5mほど吹っ飛ばされる。


 そこを逃さぬエースではない。


「閃!!」


 斬撃がエルサを捉え、決着。


「くそっ、やられた」

「ふっ、まだまだだね」


 エースが勝ち誇った顔で言う。


「上手いこと緩急を使われたなー、立て直そうと試みたか、無理だったね。またやろう」

「やあ、最後に1発入れれて良かった。むしろ絡めて使わないと勝てなくなってないか…?おう、またやろう」


 実はここまで3戦してエルサの3勝、最後に何とかエースが1勝返したという形だ。


 そしてエースとエルサの2人の対戦が終わったあと、その対戦を見守っていたほかのメンバーが対戦を始める。ここによく来ているバルドはアルクを連れて今日も迷宮に行っている。


 エースやエルサはメンバーに合図や応援を送りつつ、エルサは切り出した。


「最近、結構メンバー入ったな」

「ああ、気になるやつでもいるのか?」

「いや、私は強いやつ、才能があるやつなら大歓迎だ。とくにあの新入りのジルって子は見込みがあるな」


 エルサは極端に実力至上主義であり、弱いものは認めない。そして、プライドが高いタイプだ。


「アルクだって戦術眼は優れていると思うぞ、俯瞰(ふかん)的に見て指示を出せるんじゃないかと思うんだが」

「それはエースで事足りるだろ?指揮官はお前で十分だし、それに実力も天と地の差だ。マスターなんてやらずに毎日鍛錬を積めば最強クラスだろうに」


 意外とマスターというものは忙しい。新しく入ったやつに教えたり、手続きをしたり、ギルドマッチを組んだり、ギルドマスターの会議もある。多忙でほかのメンバーよりも鍛錬出来ないのだ。


「それでも、アルクには向上心がある。今日もバルドのことを師匠!とか呼びながら迷宮に朝出かけてったよ」

「結局は実力が無いやつはどれだけ努力しても、少し努力した才能があるやつに淘汰(とうた)されるだけだ。向上心なんてあってもなくても変わらないさ」


 俺は知っている。

 エルサはカルラをライバル視していることを。そして、全くカルラに意識されていないことも。別次元なのだ、彼女は。才能もあり、努力もする。全てが圧倒的に彼女に勝っていることを、エルサだけがカルラを意識しているだけなのだと思い知らされたことを。


「人それぞれ考え方に違いはあるだろうが、アルクを悪くいうのはやめてくれ。同じギルドの仲間なんだからな、自分がエルサと比べて思うことを、人にぶつけるのは違うと思うぞ」


 そう言うと、エースは闘技場を後にした。

 エルサはエースが立ち去る姿を見つめることしかできなかった。



 ☆☆



 エースとエルサ達が闘技場で対人戦をしている間に、アルク達は迷宮に来ていた。

 前回は1人で倒すことが出来なかったモンスターを今回は1匹は倒すというのが目標だ。

 なのだが……


「アルク!凄いだろ!?絶対脳筋プレイじゃなくて魔法使える方がカッコイイぞ!」


 そこら辺にいる1階層のモンスター30体程度が核も残らず消え失せる、超火力広範囲魔法を使いながらカルラが勧めてくる。


 これがどれくらい凄いのか。1階層のモンスターは群れるタイプではないし、あまり湧きモンスターが少ないことや、さっきから何発も撃ってることを考えるとそこまで負担は無い何気ない魔法でこの威力。魔術師最強は伊達じゃない。


 しかし、今回はカルラだけではない。むしろカルラがついて行く!と言ったから3人で行くことになったのだ。もちろんもう1人というのは師匠のバルドだ。


「おい、カルラ。別に物理攻撃が脳筋なわけじゃねぇぞ。小細工無しに力任せに何でもやっちまうのが脳筋だ、むしろブーメランだぞ。それにアルクの倒す分くらい残しとけよ」

「それはごめん、アルク」


 ちょっと調子に乗って魔法をぶっぱなしたと、すこししょんぼりするカルラさん。


「いえ、大丈夫です」


 このギルド最強といわれるカルラさんと、そして師匠のバルドさんと迷宮に来ているのだが……


 さっきから魔法を使えるようになれば、自分の引き出しが増えると主張するカルラと、まずは槍の基本を抑えてもう少し鍛錬してからだ、というバルドが言い合っている。


 確かに魔法は魅力的だし、カッコイイから使えるようになりたい!けど、まだ槍もろくに使えてないからある程度使いこなせるようになってからのがいい気もする……つまり決めることができてないのだが、2人がいつも主張し合っているので余計決めにくい。


 まあアルクからしてみれば、この言い合いよりもカルラさんの格好にツッコミたいところがある。


 迷宮に来るのに水着である。ヴィネスは海に面してるけど、少し距離あるし、暖かい気候ではあるけど水着の人がいるのは砂浜とかでしか見ないと思う。


 確かにカルラさんはスタイル良いから凄い似合うし、上に付けてる飾りのサングラスもにあってるけど……流石に水着は人目につくし、迷宮にそんな格好できたら舐めてるとしか思われそうにない。


 幸いカルラは冒険者の中でも有名なので、カルラの実力なら問題ないと思うだろうが。



 ☆☆



 今回の目的は経験を積むことだ。

 魔素を上手く使えるようになれば少ない負担で魔法やスキルを使えるようになるし、もちろん立ち回りも上手くなっていく。


 しかし--


「やばいっ!」


 ゴブリンの小刀を避けきれない……!


 ゴウッッッ


 カルラの杖から火が放たれ、ゴブリンの右腕が灼ける。


 ぐあぁぁぁぁああ!!!


 痛みに声を荒らげるゴブリン。そして、しばらく悶えたあとに動かなくなる。恐るべき魔法だ。


「アルク……お前にはパワーが足らんな。てっきりあの一撃で倒せると思ったんだが」

「だから魔法の方が才能があるんだって。魔法に切り替えよ?な?」


 何故こんなことになったかと言うと、ゴブリン相手にしっかりと立ち回ったのはいいのだが、一撃を加えたのに致命傷には至らなかったのだ。


「首狙わないと倒せないか……もっとゴブリンの体勢を崩してから攻撃すれば、すんなりいけるだろう」

「わかりました!」

「魔法のが手っ取り早いのになぁ」


 自分の弱さに涙が出そうである。

 今回は物理攻撃でモンスターを倒せるようにする、というのを目標にしたはずなのに、カルラさんは相変わらず魔法を推してくるのだった。

レポートを処理し終えたので、漸く!と言った感じで更新出来ました。

非常にスローペースですが、ブックマーク外さずにいてくれる方、読んでくれる方に感謝です。

マイペースな更新になるとは思いますが、読んでいただければ幸いです。

メッセージとても嬉しかったです、更新頑張ります。感想等もお待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ