あしたはひとりにしてくれ
あしたはひとりにしてくれ
竹宮ゆゆこという名前を聞いてまず思い浮かぶのは電撃文庫の作品『トラどら!』や『ゴールデンタイム』だろう。そんな作者が最近文芸作品にも手を出したという。私は『とらドラ!』をアニメでしか見ていない。多くのライトノベル作品を読んでいない理由に共通するのが、巻数が多いということである。継続的に購入しているもの以外、なかなか買うことができない。これはある意味、今後の出版業界の課題となってくるだろう。でも、そんなお話はどうでもよかった!
ともかく、ゆゆこさんがどんな作品を書いているのかが気になって、ここ最近出版された作品を読んだ。そのどれもが面白い。私は男のくせにどうも女性作家が書いた作品が好きなようだ。とはいえ、桜庭一樹と竹宮ゆゆこさんだけなのだけれど。ちなみに二人に共通するのは、初めはライトノベルから文芸世界に入ったということである。
小説を書いていて思うのだが、物事を簡潔に述べるのはなかなか難しい。それが上手いのがライトノベル作家であると私は思う。逆に長々と書くのは苦手なのかもしれないけど。でも、今の時代、私のようにクドクドナガナガと書くのは割に合わないのかもしれない。
で、今日は色々二転三転して、どうしてそうなるのかというと明確な理由もないのだが、色々と書いていた小説が一段落してどうしていいのか分からない、軽いパニック症状に至っているからであろう。私にとって恐怖でしかない4月も目の前で、やることが多い。それが故か、読書量が増えたわけであって、こうやって一気に感想文も書いてるわけである。私の部屋には大量の未読本があって、そいつらを成仏させてやらねばと思うのだけど、いざ成仏させていくと、得も言われぬ恐怖感がこみ上げてくる。それはなぜなのか私にも明確には分からないが、終わりの来る恐怖とかそういうことなのだろうと思う。小説を書き終わった私は今やることがなくて、いいや、やりたいことがなくて、かなり呆然としている。そのくせやらなければならないことはこちらが望んでもないのに積み上げられた本以上に積まれていて私に襲いかかってくる。ったく、本気で小説家になりたいと思ってしまった。
ここまで自分のことばかり書いていてさぞがっかりされたであろう。ちゃんと感想文を書きますとも!
ライトノベルを書いてらっしゃったということで、文のリズム、物語の運び、意味の簡潔さは素晴らしい。まるで具がゴロゴロと入った少しだけ上品な味噌汁を飲んだ気分である。
ただ、こうじゃないんだよな、とすごく思ったのは、主人公が高校生の男子で、男子校に通っているのだが、男ってもっとバカなんだよなあ、と思ったり。頑張って男子高校生の日常を描き出したかったのでしょうが、もっとバカなんですよ、男の子は。そして、なんだかんだで冷徹を装っていて、そして、自分が一番正しいかのように考えている。でも、ゆゆこさんを否定したいわけでもなく、ああ、女性から見ると男はこんな感じなのかという参考にもなる。でも、共学でガールフレンドができた経験もない私からすると、男子校はもっと魔境なんだろうな、と思ったり。きっと何が起きてもおかしくないはず。それこそ、ドラゴンボールなみの何かが胃から噴き出していたり(なんのこっちゃ)。
この小説は結構所々笑わせてきて、特に大好きなのは家族でわちゃわちゃとしているところである。見聞の狭かった私は、家族ってのは顔を合わせると会話もないそんなものだと思っていたけれど、色々な人と関わるようになると、一緒にいるとテンションが高すぎて疲れるほどの家族ノカタチもあるのだそう。きっとそんなアニメみたいな家族を表したのがこの小説であって、みんながなんだか面白くってとっても大好きです。
なんだか大好きを連呼すると恥ずかしいな。
さて、今度は何を読もうかな。