どうやら人を蘇生させられるらしい
「まおう……さま?」
カタトロフに乗っているドグマを見上げてデミデーモンの少女が呟いた。
「我は魔王ではない。漆黒の覇王、ドグマだ」
ドグマは、意地でも自分の決めた設定を貫き通すタイプらしい。可哀想な少女の言葉に乗ってあげないのか。
「ドグマさ……ま。おにい、ちゃんを、たすけて」
少女が涙をこらえて上目遣いでお願いしている。破壊力は抜群だ。紳士の方々は一発KOだろう。
「この愚かな男か。よかろう。復活の機会をくれてやる」
どうやら少女の願いを叶えることにしたようだ。……待て、流石にドグマでも人を蘇生することはできないよな。できないよな?
「死せる愚者に生の希望を」
残された死体の下半身が土に呑み込まれる。少ししてすぐに、目を閉じた青年が地面から吐き出された。
「じきに目覚めるであろう」
できてしまった。どうやらドグマの能力は万能なようだ。
「ドグマさま、ありがとう、ありがとう!」
重傷を負ったデミデーモンたちが辺りに散らばり、非戦闘員たちが離れてドグマを警戒する中で、ありがとうと言い続ける少女。カオスである。
「……ふっ」
わずかににやけている辺り、満更でも無いようだ。