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どうやら服を新調したらしい

 ドラゴンを追いかけ草原を駆けるカタトロフとドグマ。ただの馬なら一瞬で引き離されるのだが、カタトロフは1キロほど離れてしっかりと追随している。はっきり言って異常である。


「……ジークヴルムを止めるのに、このような装備では些か役不足であるか」


 ドグマは自分の姿を見下ろして言った。今のドグマの服装は学生服だ。漆黒の馬に乗る完全に中学生姿の中二病。どう見ても違和感しかない。ドグマもそれに気付いたのだろう。


「出でよ、我が主より賜りし暗黒の魔装。アズベルク」


 地面から紫色の煙が溢れだし、カタトロフとドグマを包み込む。一瞬で煙は晴れ、一人と一頭が表れる。

 ドグマはいかにも魔王ですといった漆黒の鎧を身に付けた姿になった。そしてカタトロフは魔王らしさを引き立たせるような馬鎧を身に付けた姿になっている。


 漆黒の馬に乗る完全に魔王の姿をした中二病。完全に違和感は無くなった。


「其れにしても、ジークヴルムの目的は何だ?」


 そして安定のジークヴルムである。大事なことなのでもう一度言うが、あのドラゴンはジークヴルムではない。通常よりもちょっと強いだけのただのドラゴンである。


 そんなドラゴンだが、突然下降した。下降地点には集落のようなものが見える。恐らく人を襲って食べるのだろう。


「っ!急げカタトロフ!」


「ヴルルッ」


 決して世界が滅びることはないが、それでも人助けにはなるので問題は無いだろう。

 青紫色マントを翻し、ドグマは集落へと向かった。

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