点火した闘志
―思ってたより弱いんだな
殴られたまま思い知らされていた。一対一のタイマンな
はずなのに拳を一ミリも前に出せない。
何かを話されてる。口が動いていたから分かったんだ。
ただ耳も聞こえないくらいこっちは余裕
がないみたい。
―弱すぎるな。わらえるよな。本当に。
(ホント・・、嗤える・・)
-っ!!
なぜか動く拳に驚いた。俺じゃ、ないみたい。
相手がペースを上げて右に左に俺の顔面をめがけてきた
拳が今は下がっている。
俺の弱弱しくガードしきれてなかった拳が今は相手の頭、 腹、胸、すべてに均等的に打ち込んでる。
―ダン!!
相手が急に倒れこむ。なのに俺は顔面に打ち込もうとして る。拳に血が見える。
―ヤバイ!!まずい!!とまれ!
その瞬間に、相手の仲間の1人に殴られる。俺は倒れて腹
や脚、頭、蹴られる。痛い。なのに、どこかで嗤えてる。
放課後。いろいろな親が集まった。自分の親。相手の親。
相手の仲間の親。
悪いのは誰。被害者は誰。ひどいのは誰。言い合うばかり で、解決しない話が続く中俺は保健室に
いた。泣いていた。唸っていた。俺の心の何かが唸ってい た。決めていた。
―強くなろう。誰でもない自分のために強くなろう。
(ワカッタ。トモニツヨクナロウ)
-誰か分からない。何か分からないモノの言葉が頭に響い た。
俺の心に火がついた。