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強さの秘密

空間に穴が開き、その中からシルヴィア達が姿を現した。第二の世界ミラナス・ナハスから魔王城への帰還だ。 シルヴィア達はすぐさま席へ着くと、クラウディアが紅茶を淹れ始め各席に一つ行き渡るように並べる。


「クラウディアご苦労様。 さて諸君……取り敢えずはお疲れ様。 死者も出なくて何よりだ。 正直、hologramとの戦闘はもう少し激化するかと思ってたんだけど杞憂だったわね……長谷川さんとアイラちゃんの能力のおかげかしら」


言って、シルヴィアは長谷川とアイラに目を通す。アイラは顔を伏せて、顔を赤らめてるのを隠していたが意味はなかった。 長谷川は無表情を装っているが耳が忙しなく動いており何とも奇妙な光景だった。


「長谷川さんの新しい能力……いつ手に入れたの?」


シルヴィアが気になった事を長谷川にぶつけてみる。長谷川は腕を組むと、首を傾げて唸る。


「んー……何だろうな。俺も分かんねえ。

ただ、新しい能力である飼い殺しは予想以上に使い勝手がいい事が分かったな」


長谷川が嚙み締めるように呟く。シルヴィアは嬉しそうに目を細めた。


「へぇ……こりゃ戦力増強だね。 簡単で良いから能力の説明もしてくれると嬉しいな。

仲間内でお互いの能力知っとくと連携も出来るしね」


シルヴィアの言葉に長谷川はまたもや唸る。

確かにシルヴィアの言葉は一理あるし、妙な説得力があった。


「そうだな……簡単に言うと飼い殺しは、俺が見下ろせる状態にあり、精神的に俺の方が優位に立っている時に発動出来る。

発動したら俺の提示した条件に絶対服従する事になり俺の奴隷と化する……こんなとこだな」


「怖い能力だね……間違っても敵にしたくないよ。 次は〜タツヒコ君!」


長谷川の能力に呆れを見せながらもタツヒコに話を振るう。タツヒコは一瞬困惑した表情を見せたが咳払いをすると喋りだした。


「俺の場合は能力じゃなく剣術と体術主体で戦うんだ。 無論魔法も使うがな。 シルヴィアとリミアには負けたが、日々の鍛錬は怠ってないぞ」


真剣には語るタツヒコにシルヴィアは意外そうな表情を見せると数瞬の間を置いて頷きを見せた。


「うんうん……鍛錬は必要だからね。 でも、タツヒコ君も自分だけの技や能力を身につけようか。戦術の幅も広がるしね」


「無茶言うなよ……」


シルヴィアの軽口のような口調に肩を落とすタツヒコ。 そのタツヒコの姿にシルヴィアは微笑を含むとアイラに目をやった。アイラは真剣に皆の話を聞いているようで姿勢も良く、シルヴィアの目にも好印象を与えていた。


「私は格闘戦を最も得意としてますね。

能力はないですが、常人の何倍もの身体能力を有してますので格闘戦においては問題ありませんね……。あと、加護というのを生まれつき持ってまして、リミアさん達太刀所有者とはまた違ったものもありますが」


アイラの説明は分かりやすく、長谷川やタツヒコでも理解出来ていた。がシルヴィアは何か納得がいかない顔をしていた。


「どうしました?シルヴィアさん……?」


それにアイラが気付いたのか、シルヴィアに声をかける。アイラに声を掛けられたが、シルヴィアは眉根を寄せて難しい顔をしている。 何かが解せないようだ。


「アイラちゃんのあの超スピードの移動速度は何? あと異常な程身体も頑丈なんだけど、それも加護とかいうやつなのかな?」


「そうですね。それらは加護の恩恵というべきでしょうかね……。 あと私もリミアさんのように太刀所有者に覚醒する可能性もあるのでさらなる高みへ登る事になるでしょうね」


アイラの言葉にシルヴィアを含む全員がハッとなる。 格闘戦においてはシルヴィアとほぼ互角の戦いを見せたアイラだ。それだけも脅威なのに太刀所有者に覚醒したらますます手がつけれなくなるだろう。


「まぁ……あくまで可能性ですが」


アイラは物静かな語り口だったが、のしかかるようなプレッシャーがタツヒコ達に襲い掛かっていた。タツヒコと長谷川は冷や汗と身体の震えが止まらなかった。


「はいはい! ありがとうアイラちゃん! さて、次は私の番ね。 私もアイラちゃんとほぼ変わらないかな。 身体強化による身体能力を底上げさせての格闘戦を得意としてるかな。

一応魔法も使えるし、属性魔法もなんともないなんだけど……火力がちょっとね」


シルヴィアが困ったような笑いを浮かべ、周りを見回す。クラウディアにアイコンタクトを行うがクラウディアが首を横に振ったためシルヴィアの顔が一瞬だけ渋った。


「ま、私の話はここまでという事で……。さて、接近戦得意なメンバーばっかだねぇ。

私は一応中距離や遠距離もいけるけどそれだけじゃ心許ないかな」


メンバーの戦術や能力を聞いて近距離主体で戦う人が多いという事が判明した。長谷川の能力やアイラの力は形勢を一気に逆転出来るのもあるが、遠距離戦法を主体としている敵にはイマイチ効果を発揮出来ないだろう。


「ま、これである程度メンバーの能力事情は把握出来たね。これなら次の世界に行っても大丈夫でしょう」


一抹の不安もあるがシルヴィアがそれを打ち消すように声を張って喋る。


「それで……次の世界にはいつ行くんだ?」


「今から」


「はぁ!? 帰ってきたばっかだぞ!?」


シルヴィアの言葉にタツヒコは驚きを隠せなかった。少なからず皆の疲労も溜まっている筈だろう。しかしタツヒコの意見ではシルヴィアの意思は変わらないだろう。


「そりゃ私だって疲れてるわよ。でも、たまにはこういう状態で戦いに行くのも良いかと思うんだけど。戦闘中に休む事なんて出来るかしら?」


「……出来ねーな。チッ……口が上手い」


「タツヒコ君は決まりっと……。長谷川さんやアイラちゃんはどうかしら?」


「私もシルヴィアさんの意見に賛成ですから問題ありませんね」


アイラもシルヴィアの言葉に賛成の意を示しており、力強く頷く。


「俺はさっきの戦いで身体が辛いが、お前らが頑張ってるからな……そうも言ってられねーよな。 ま、次の世界での戦闘は俺はみるだけにさせてもらうわ」


長谷川も一応次の世界に行く事は賛成のようだった。 長谷川が肩を回すと小気味良い音が肩から聞こえた。 次にシルヴィアはクラウディアを見たがクラウディアは言わずもがなシルヴィアに賛成しているようだ。


「よーし。じゃあ早速……行ってみよう!」


シルヴィアか言い終わると同時に空間に穴が開く。 その穴に全員入ると、穴は自動で閉まり無人の魔王城に早変わりしたのだった。

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