夏色*.・第7章・.*
『成美!』
私が目を覚ましたのと同時に母が抱きついてきた。
『お母・・・さん?』
『成美ね、和也くん家で倒れていたのよ?!』
和也・・・・・・・?
『か!和也のお母さんは?!』
『大丈夫。今は違う病室で眠ってるはずよ。』
『どこの病室?!』
『305だけど・・・成美、あなたまだ冷静にしないと・・・看護婦さんよんでくるから』
母は病室を出て行った。
数分後。
看護婦に許可をもらい和也の母親のいる病室に言った。
病室に入ると窓際のベットで和也の母親は外を見ていた。
『おばさん?』
『成美ちゃん』
『大丈夫ですか?』
『ええ』
『・・・・・っあの・・・』
<どうしてあんなことを・・・>
聞こうと思ったがいざとなると声が出ない。
すると和也の母が口を開いた。
『なんだか、外の空気が吸いたいわね、屋上で話しましょ。』
私は和也の母親に手をひっぱられ屋上に行くことにした。
屋上につくと、フェンスに手をかけ和也の母は話し始めた。
『成美ちゃん、私もうだめだわ』
『・・・・・・え?』
『和也とお父さんがいないと何にもできないのよ。』
『そんなっ・・・でも・・・おばさんは死んじゃだめだと思います。』
『成美ちゃん?』
『だって、だって、おばさんがいやだって思ってた和也がいなくなってからの日々は、和也が過ごしたかった未来だし・・・えっと・・・だから・・おばさんは、和也やおじさんの分まで生きて、楽しまなきゃ・・・・あ・・・・あれ?あたし・・・なに言ってるんでしょう?』
『ううん。それじゃぁちょっとだけ、生きてみようかしら』
『ちょ・・ちょっとじゃないです。ずっと生きて下さい。約束です!』
私は無理やり和也の母の小指をとり、指きりをした。
涙ぐんでた和也の母親は少し微笑んだ。
『成美ちゃん。渡しそびれてたんだけど、これ。』
和也の母は少しすると小さな袋を取り出した。
『和也のポケットから出てきたみたいよ。帰ったらあけてね』
私はこくりとうなずくとそれをポケットに入れた。
退院の許可がようやく出た。
家に帰ると私はさっそく和也の母からもらった袋を開けた。
きれいな袋だけど、ところどころ黒ずんで、破れている。
袋をさかさまにして、手で出てきたものをうけとめた。
涙が出た。
私の手の中には、シンプルな指輪があった。
シルバーで、ハートが規則的に彫られていた。
私は左手の薬指にそれをつけた。窓から射す光に反射してキラキラしてる。
『きれい・・・・』
和也 和也 和也・・・・・
『見てよ・・・すごい綺麗じゃん・・・』
そのあとはただ泣きじゃくった。
その時
<コンコン>
『成美!成美!』
お母さんが呼んでる。
『どうしたの?』
私は涙をふきながら答えた。
『それが・・・和也くんのお母さんが!!!!!』
胸がざわめく。