夏色*.・第4章・.*
*.・第4章・.*
嘘だ・・・よね?
でも・・・・和也の母親が泣いてる・・・
うそじゃない・・・
うそじゃないんだ・・・
[グスッ・・・じゃあ・・・また、葬儀の連絡とかするわね。]
『和也の遺体は・・・』
[見つかったみたい・・・今から病院に行って会ってくるわ・・・]
『私も・・・私も行っていいですか?』
[・・・・]
和也の母親は少し黙っていた。
[そうね・・・成美ちゃんには来て欲しいわ・・・]
『はい。』
[じゃあ、T病院にいるから、成美ちゃん来て頂戴・・・]
『はい。』
私はすぐに家をとび出した。
病院に着くと、和也の母親がいた。
涙の後が、くっきりとみえる。
『和也は・・・』
『この部屋よ・・・』
それだけ言うと和也の母親は廊下の椅子に座り込み、また泣いた。
薄暗い部屋に入ると、手前のベットに和也がいた。あまり外傷はないが目を閉じて動かない。
『・・・か・・・ずや・・・?』
私は言葉を失うと同時に涙がこみ上げてきた。
手を触っても、冷たい。
『なんで・・・・いっつも温かかった・・・じゃん・・・』
『目、開けてよ・・・』
『なんで・・・ハイジャックなんかに巻き込まれるの・・・』
何を言っても返事がない。
“嘘だよ”って・・・起きてくれないの・・・?
“何成美、騙されてんの?”って、起きて笑ってよ・・・・
『ねぇ・・・・!』
私は和也を揺さぶった。
『なんで・・・・っ なんで笑ってくれないのよぉ!!!』
私はその場で泣き崩れ、しゃがみこんだ。
なんで・・・・一人の馬鹿な人間のために・・・
和也が犠牲にならなきゃいけないの・・・・・
いつもの事故のニュースが、こんなに悲しいものだとは知らなかった。
これから秋になって、冬になって・・・
私の手はどんどん冷たくなる。
これから誰に温かさをもとめればいいの・・・・
私はこれからどうすればいいのよ・・・・
『目ぇ開けてよぉ!!!!!和也!!!!!』
私はまた泣き叫んだ。