夏色*.・第3章・.*
*.・第3章・.*
和也が旅行に行って私は暇な日々を送っていた。
友達とのショッピングやプールなども楽しいが、なにより和也に側にいてほしかった。
和也が帰る予定の3日前。
『暇だ・・・』
アイスクリーム店で私がこぼした言葉。
友達*.町田杏奈.*はアイスをなめながらクスクスと笑った。
『私と遊んでるのに、暇とはずいぶん失礼ねー!』
『すいませーん』
私はやる気の無い返事をしながらアイスクリームをなめる。
『でも和也君、あと3日で帰ってくるじゃん』
『そうだけどー・・・』
ちらっとアイスクリーム店の窓を見ると飛行機が飛んでいる。
『2週間って長いねー』
私はのったりとした声で言う。
待ちに待った和也が帰ってくる日。
私は興奮で早くに目が覚め、携帯をにぎりしめた。
帰ってきたらメールをくれるにちがいない。
早く帰ってこないかなー・・・
しかし、和也からのメールは届くことのないまま朝が過ぎ、昼が過ぎ、
夜になる・・・・
『・・・・・あれ?』
私は和也の携帯に電話をした。
[プルルルルルル・・・]
[プルルルルルル・・・]
[ガチャッ]
『あ!和也!』
[おかけになった電話は、現在電波の届かないところにあるか・・・]
『・・・・帰ってないのか・・・・』
まだ飛行機かな?
その時は思っていた。
次の日。
やっぱり和也から連絡が来ない。
夜になっても・・・・そして電話は
繋がらない―・・・・
家の電話にかけても、誰も出ないのだった・・・
と、その時。
<プルルルルルルル・・・・>
家の電話がなった。
私はどきっとし、受話器を耳につけた。
『もしもし・・・』
[あっ!もしもし?]
杏奈からだった。
『杏奈・・・?どうしたの?』
[テレビ・・・見て。ニュース・・・]
『え・・・?』
[じゃぁね・・・]
『え?!ちょっ・・・杏奈ッ!』
[プッ・・・ツー・・ツー・・・]
私は不思議に思い、テレビのリモコンに手を伸ばした。
テレビで私が見たものは、信じられない光景―・・・
<昨夜、オーストラリア行きの飛行機でハイジャックが―・・・>
・・・ハイジャック・・・?
<ハイジャックの起きた飛行機は犯人が操縦したまま墜落。
犯人を含め乗客全員が死亡したもようです―・・・>
・・・・違う・・・よね・・・
<プルルルルルルルルル・・・>
また電話がなった。
『はい・・・』
[成美ちゃん?!]
和也のお母さんだ・・・お母さんがいるなら和也も無事だ・・・よかった・・・
『どうしたんですか?』
[飛行機のニュース見た?!]
『はい。今見てました。』
[・・・・・・グスッ・・・]
泣いている様子だった。
『あの・・・?和也は・・・?』
[和也はね・・・あの飛行機の中に・・・]
『え?!』
[さっき警察の方から連絡があったの・・・
私、母親が病気で実家に帰ってたから旅行には行かなかったんだけど・・・]
『え・・・』
[ごめんね・・・成美ちゃん・・・ごめんね・・・]
私は何が起きているのかがわからなかった。