おかわり、 後日談4
「私は知ってましたけどネ、あなたが卵さらいだと」
狐目は卵を追う過程で鹿島のことを知ったんだろうが、鹿島は狐目が竜だなんて知らなくて当然か。
「それについては言い訳しませんよ」
鹿島は開き直った。
「盗んだのは教授でも、受け取って運んだのは私ですからね」
そして狐目は俺を騙して、俺は鹿島から卵を盗んだ。
詐欺師が一人、盗人が一人、誘拐犯が一人。
ぐるりと因果が回って、綺麗にオチがついている。
「で、あんたは何でここにいるんだ?」
おっと忘れてました、と鹿島が居住まいを正す。
「率直に聞きますが、新垣さんはこのままずっと竜を育てるつもりですか?」
「え?」
「子供竜も戻ってますよね?今は奥ですか?一緒に住んでいるでしょう?」
「見張ってたのかよ」
まあそうだろうとは思ってたけどさ。
また来ると言っていたのにぱったり音沙汰無くなったから、竜が帰省した時に諦めたんだと思ったのに。
「てっきり引っ越すものと考えていたんですけどね。私が言うのも何ですが、あんなことがあった後ですし。
でも新垣さんにはそんな素振りも無いし、その内に竜も戻って来るしで。
これはもう直接出向いて聞いた方が早いかなと」
ようは、いつ俺が音を上げて竜を手放すのか待っているってことか。




