おかわり、 後日談3
「そんなバカな!だって男物のスーツ着てたじゃないか!
気付きませんよそんなの!」
うん、知ってる。俺もそう思う。
「それに、わざわざ新垣さんに卵を盗ませるなんて……だからてっきり《信奉者》だと……」
「信奉?」
鹿島は苦い顔をして見せた。
「あー……私達のライバル組織です。竜を神様と崇めていて、竜を研究する私達の邪魔をしてくるんです。
さっき言っていた竜司祭っていうのは、《信奉者》の中でも高い位置にいるメンバーでして」
つまり鹿島は、狐目をそいつらと勘違いしてたって訳だ。
「それじゃ、あの時公園にいたのは?」
鹿島が狐目に尋ねる。
狐目は、フンと鼻で笑って答える。
「子供達の様子見てたですよ。あなたが邪魔してくれるまでは」
「それだけ?」
「当たり前でス」
鹿島はうなだれた。
酷い目眩に襲われたように頭を抱える。
クソ、と舌打つ声も聞こえた。
「何てこった!竜司祭の魔術を間近で見られると思って、ちょっと期待したのに!」
嘆いているのは、自分の短慮にではないらしい。
こいつも相当変な奴だ。
「お前達、会ったことあるのか?」
狐目と鹿島が顔を合わせていたなんて、俺は知らなかった。
鹿島が答える。
「新垣さん家を探している最中にばったり出くわしたんですよ。
ほら、あっちの緑地公園のところで」




