おかわり、 後日談2
「どんな奴に追われたんだ?」
尋ねたその時、
ピンポーーン。
チャイムが鳴った。
「はーい。ちょっと出て来る」
話を中断して玄関へ向かう。
後ろから、狐目がひょいと覗いている。
無造作にガチャリと扉を開けた先、訪問者の顔を見て、俺は露骨に眉根を寄せた。
「や、どうも新垣さん」
あんまり見たくない顔――鹿島平祐が、にこやかに片手を上げて挨拶する。
思わず戸を閉めようとした瞬間、部屋の中へ視線を向けた鹿島が、驚愕の声をあげる。
それに、狐目の悲鳴が重なった。
「あー!竜司祭!」
「こいつでス!」
見事な不協和音を奏でていた。
さて、何がどうなってるんだ?
前に忘れていった靴を返してやりながら、俺は鹿島を部屋に招いた。
こりゃどうもと会釈しつつ、鹿島は靴を受け取って座布団に座る。
口火を切ったのは狐目だ。
「こいつです、私を追ってきた誘拐魔!子さらい!人でなし!」
「何だと!そっちこそ卵泥棒だろう!ご丁寧に代役まで立てて!」
「まあまあ、ちょっと落ち着いて」
止めに入る俺に、鹿島が食ってかかる。
「どういうことです新垣さん、まさかこいつに竜を渡すつもりじゃないでしょうね?」
「渡すも何も、こいつはあいつらの母親だし」
「……はぁ?」
鹿島はあんぐりと口を開けた。
「母親竜っ?!」
たっぷり一秒かけて言葉の意味を飲み込む。
さしもの鹿島も驚いた。




