表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/101

七十皿目、 ――三十六計逃げるに如かず 2



公共の交通機関に乗れば、こいつらのことは隠さなければいけない。

どこか落ち着ける場所を見つけるまでは、食事も与えられないかも知れない。

どこまで行けるかは分からない。

だが、行けるとこまで行ってみよう。


おかわりを要求する二匹にたんまりよそってやりながら、俺は自分の皿を片付けた。


それから荷物を作り始めた。

持っている限りで一番大きなバッグに、タオルやら着替えやらを詰める。

こいつらの退屈を紛らわす玩具やおやつも持って行かねばなるまい。

と、かき集めたそれらを俺が捨ててしまうとでも思ったのか、二匹が慌てて抗議にやって来る。


「ダメー」「アソブー」

「こらこら、邪魔するな。出かける準備してるんだから!」


持って逃げ出す二匹から、ボールとピーナッツの袋を取り上げる。

お前らもこれから鞄に入るんだぞと教えたら、揃ってきょとんとした顔を見せた。


「これからお出かけだ。外は初めてだろ?

 いい子にしろよ」

「おデかけー?」「おさンぽー?」

「散歩とは違うけど、まあそんなもんだ」


途端に、目をきらきらと輝かせ始めた。

好奇心旺盛なこいつらのことだ。外の世界には、大層興味があったに違いない。

だけど俺が外へ出ることを許さないから、いつもはきちんと留守番をしていたのだ。


初めての外出に浮き足立った二匹は、俺が言うより先に鞄に潜り込む。

俺のシャツやジーンズの上で丸くなり、鞄の口からひょこりと顔を出す。

残った隙間に、俺は財布や携帯電話を押し込めた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ