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五十八皿目、 ――そして再会 5
二匹が甲高く鳴いて身を隠す。
しかし、逃げ道なんてあるだろうか?
玄関には白衣の男達がいる。
ベランダに出るガラス戸は鍵が掛かったままだ。
ドスッ!
「うっ!」
と、腹に鈍い衝撃。
鹿島の肘鉄を食らって、思わず緩んだ腕から逃げられる。
右手を掴まれた。伸びきった肘が捻られる。
前のめりに倒された。
「いたたたっ!」
流れるような動作で関節を固めた鹿島が、俺を床に押さえつける。
「確保!」
鹿島の号令で、白衣達が部屋に侵入してくる。
靴ぐらい脱げ、この野郎。
白衣の二人が、それぞれクロウとシロウを捕まえるべく手を伸ばす。
「キィッ!」「キィィッ!」
二匹の声色が変わった。翼を広げて、飛び上がる。
ひらりと掌から逃れた。
そのままクロウは天井辺りまで舞い上がり、
シロウは自分を捕まえようとした男に体当たりする。
「ぐぇっ!」
まともに顎に入ったようだ。足を滑らせ、仰向けに転ぶ。
クロウは、一直線に鹿島に飛来した。
「おっと!」
飛び退いた鹿島の眼前を、クロウの爪が通過する。
すぱりと、鹿島のシャツの肩口が裂けていた。
まるで、刃物で切りつけられたかのようだった。




