五十六皿目、 ――そして再会 3
――
ピンポーン。
チャイムが鳴った。
俺は丁度、家計簿と向き合いながら、生活の窮状に溜息をついていたところだった。
「はーい?」
返事をしながら、玄関へ向かう。
ついて来ようとする二匹を、奥へ行ってろと手早く追い返した。
シロウは素直に部屋へ戻ったが、クロウは何か気にでもなるのか、襖の所でこちらを窺っている。
隠れていろと仕草で示す間に、ドアの前へ着いた。
「新垣さん宛にお届け物です」
「あ、ちょっと待って下さい」
扉越しの声に、返事する。
実家から何か送ってくれたんだろうか?
仕送りか、野菜なら大助かりだと期待する。
戸棚の引き出しから判子を引っ張り出して、がちゃりと鍵を外す。
ドアノブを回し、今まさに戸を開けようとしたその瞬間。
ガッ!!
いきなりドアを引っ張られた。
隙間から突っ込まれた手が、無理やりこじ開けたのだ。
俺は驚いて飛び退く。
身を乗り出してきたのは、見覚えある顔だった。
運送屋の配達員ではない。
チューリップハットこそ被ってないが、伸び気味の癖毛と無精髭は記憶に新しい。
「どうも、新垣さん。竜を返して貰いに来ましたよ」
キンダイチもとい鹿島平祐が、俺にそう告げた。
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