表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/101

五十二皿目、 ――最後の日常 2



帰り道に肉屋によってトンカツを買ってきたのだ。

俺にとってはちょっとした贅沢。


「カレー!」「カレー♪」


好物が待っているとなれば、途端に機嫌も直る。

現金な奴らだ。


「今から作るから、良い子で待ってろよ」


二匹を部屋に残したまま、台所へ向かう。

カレールーの鍋をコンロに乗せながら、米をボールに移して研ぎ始める。


火は弱火で十分、焦げないように時々様子を見つつ。

煮詰まりすぎて水分が足りなければ水を足すが、今回はまだ大丈夫。

同様に、具の方もジャガイモが若干煮崩れているが、まあ許容範囲内。

元々大きめに切ってあるし。


研ぎ終えた米を炊飯器に入れて水を注ぎ、炊飯ボタンを押す。

後は待つだけ。

その間に皿とスプーンを用意し、付け合せのらっきょうと福神漬けを出しておく。


まだ温かいトンカツは、一旦キッチンペーパーの上で余計な油を切る。

それから、包丁で一口大に切る。


米の炊き上がる甘い匂いと、ふつふつと泡立つルーのスパイシーな香りが充満する頃、待ち切れなくなった二匹が顔を出す。


「マダー?」「マダー?」

「まーだだよ」


「……マダー?」「マダー?」

「まだだってば」


ちょろちょろとうろつき回っては、炊飯器の横で炊き上がりの合図を待っている。

まともに蒸気を浴びているのに、熱くないのか?

俺は、ルーが焦げないように時々かき混ぜる。

そのうちピピピッと電子音が鳴ると、二匹が騒いで教えてくれる。


「ピーピー!」「ぴーぴー!」

「はいはい、聞こえてるって」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ