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四十一皿目、 ――再び、B面 1



――《信奉者》という組織がある。


竜を神として信仰する宗教集団と聞くが詳しくは知らない。


『竜の住む“あちら側”の世界は、僕らの住む“こちら側”とは異なる因果律の支配下にある』

と教授は言っていた。


二つの世界は互いに時間や空間よりもかけ離れた次元の断崖の向こう側にあって、互いの宇宙の成り立ちからして違うことを証明するかのように、物理法則も物質の有り様も時間の流れすら、まるで違う。


竜は、その世界から時折やって来る。

彼らが如何なる理由と手段でもって次元の隔たりを超えるのか、知る術は無い。


竜は古くから――向こうの時間感覚で言えばつい最近である可能性もあるが――こちらを訪れ、時に畏怖され、時に崇められた。


教授によれば、文献に残っている限りでは二十年前に確認された個体が最後の竜だそうだ。

ということは、あの卵は二十年ぶりに現れた竜なのだ。


それを今や二組の陣営が奪い合い争っているということになる。


――これが、鹿島の知る竜とそれに纏わる全てだ。




教授はまだ帰らない。

一応、メールで逐一連絡は入れているものの、返信はまるで期待できない。


電気どころかまともに道路も通っていない地球の裏側で、原生林の奥地へと好き勝手フィールドワークに出かけているのだろう。

件の竜の卵を国際便で送りつけて来て以来音沙汰もないが、何かトラブルがあれば一報ぐらい寄越すだろうと、特に心配もしていない。


研究所に戻った鹿島は、教授の部屋にこもった。

書棚を漁って、竜や信奉者に関わる文献を片っ端から読んでいったが、これといって目新しい情報は手に入らなかった。


「う~ん、これ以上は調べても無駄か」


少しでも情報が欲しかったが、仕方ない。




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