表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/101

三十三皿目、 ――舞台袖或いは物語のB面 6


とはいえ、更なる情報が得られる機会を見過ごす訳にもいかない。


「行くだけ行ってみるか」


無理のないところで引き上げればいい。

針の向きに注意しながら、車を走らせる。

公園を過ぎた所でそのまま帰路に着こうと、そう考えていたのだが。


しかし、事は思ってもみなかった方へ転がり始めた。



針がまた傾きを増している。

つい先程まで北を指していた先端が、ゆらゆらと北西へ向き始めている。

そちらにあるのは、緑地公園の敷地だ。


鹿島は車の速度を落とした。

現在地は、住宅街と公園の間を走る道路。

どうやら針が示しているものは、完全に公園の敷地内にあるようだ。


車が進むに連れ、見て分かる程に針の先端は西へと倒れてゆく。

間違いない。公園の中、それもすぐ側に竜はいるのだ。


鹿島はすぐさま道路脇に車を止めた。

コンパスと最低限の荷物だけを抱えて降りる。

その足で、急ぎ公園へと駆け込んだ。


何という幸運かと思った。こんなに早く竜を発見できるとは。


緑地公園と言うだけあって、中は鬱蒼と木が繁っていて暗かった。

遊歩道や広場などの開けた辺りは明るいが、木々の枝葉が作る木陰ではひやりと空気も湿っている。

蝉がそこかしこで鳴いていた。ジーワジーワとがなり立てる声が五月蝿い。

奥には噴水もあるようだ。途中の案内板にそう書いてあった。


鹿島は手元のコンパスを見ながら、なるべく木の多い場所を選んで森を進んでいった。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ