二十七皿目、 ――男子三日会わざれば 6
二匹にはお気に入りの場所がある。
クロウは座布団の上とテレビの上。それから俺の肩の上。
シロウは掛け布団の上と卓袱台の下。それから胡座をかいた俺の膝の上。
もう結構な大きさになった二匹は、膝や肩に乗せるにはそれなりに重い。
眠る時も、以前は二匹揃って布団越しに俺の腹の上に乗っかっていたが、
今それをやられると息苦しいを通り越して俺が窒息する。
じりじりと降りてくる石の天井に押し潰される夢を見て、飛び起きたこともある。
だから最近では、俺の両脇に二匹が丸まって寝ている。
俺の腕だったり腹だったりに、好き勝手頭を乗せて枕代わりにしながら。
寝相は……良いんだか悪いんだか。
幸い、寝ぼけて噛みつかれたことはまだないが、お行儀良く丸まってるかと思えば、だらしなく腹を見せて転がってる時もある。
夢でも見ているのか、しきりに羽を動かして尻尾を揺らしていたこともある。
竜でも夢を見るんだろうか?
見るんだろうな。
どんな夢かは、皆目見当もつかないが。
鳥ならばいずれ巣立ちの日が来る。
自分の翼で飛んで、独り立ちする日がやって来る。
竜はどうなのだろう?
いつ巣立つものなのだろう?
そもそも明確に巣立ちという習慣があるんだろうか?
どれくらい大きくなったら成人(成竜?)なのかも分からない。
というか、どれくらいまで大きくなるんだ?
キンダイチに聞いておけばよかった、とちょっとだけ思った。
多分いつまでもこいつらをここに置いておくことはできない。
隠し続けられるならともかく、見つかってニュースにでもなれば大事だ。
かといって捨てるなんて選択肢はない。
キンダイチに渡すつもりも無い。
その時が来たら、俺はどうするんだろう?
どうすべきなんだろう?
全然思いつかない。
きっと考えても仕方ない。
なるようにしかならない。
俺は、俺の枕を占領して寝入っているクロウとシロウの間に、無理矢理頭を割り込ませて横になった。
一人と二匹で、仲良く頭を並べて眠りにつく。
――そして、美味しいカレーの夢を見る。
次話からはやや視点を変えてお送りします。




