二十四皿目、 ――男子三日会わざれば 3
大盛りの皿を二つ、俺が持って移動すると、子竜達は急いでついて来る。
待ってましたの飯の時間だ。
食事はいつも、居間の卓袱台の上。
俺の皿と二匹の皿、水のグラスが二つに、スプーンが一つ。
「いただきます」
「イタァーマー」「ッターキィマ」
“いただきます”。
これは単に俺の真似をしてるだけなんだろうな。
意味までは分かってないんだろう。
召し上がれの合図くらいには思ってるかも知れない。
人間の子供にも、親の真似をしたがる時期というやつがあるらしい。
多分そういうのって、生きるのに必要な行動を学習するための、予め備わった仕組みなんだろう。
腹を空かした二匹は、勢い良く米に食らいついている。
「美味いか?」
「ンマー!」「ウマー」
ちょっと前までぴぃぴぃとしか鳴かなかった奴らが、随分と表現力豊かになったものだ。
「ごちそうさまでした」
「ゴーォサァダ」「ォーオサーシタ」
ああそうか。
何かに似てると思ったら、これってまんま赤ちゃん言葉だ。
赤ん坊は、親や家族の会話を聞いて、真似をしながら言葉を覚える。
あらら。
うちの赤ん坊は、飯が済んだらもうテレビの前に陣取ってやがる。
こいつらにとっては、テレビが語学の先生だ。
人間も動物も、子は親を真似て学習していく。




