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二十二皿目、 ――男子三日会わざれば 1



最寄り駅に降りる時さえ緊張した。

よもやキンダイチが先回りしてやしないかと。

まあ杞憂だったが。

歩き慣れた家路を辿って、やっと我が家に帰り着く。

何だかどっと疲れた気がした。


「ただいまー」


靴を脱ぎながら一声掛けると、出迎えでもするようにシロウとクロウがちょろちょろと走り出てくる。


「オーゥ、オーゥ」「オーォ」

「何だ、変な鳴き方して?

 まさか病気にでもなったんじゃないだろうな」


抱き上げてみるが、どちらも機嫌良さそうに頭を擦りつけて来るばかりで、具合が悪そうには見えない。


「オァーイ」「オォーリ」


何だろう?新しい遊びだろうか?

しかしあんまり騒がれて大家や隣家にバレるのも困る。


「はいはい、分かったから静かにしろよ」

「オーゥ、オァーリ」


ん?

何だか、ある一つの単語に近いようなものに聞こえるのだが。


「もしかしてお前ら、“おかえり”って言ってくれてるのか?」


俺の足元にまとわりつく二匹が、揃って得意気にばさりと羽を鳴らす。


「オカーリ」「オカーェリ」


俺は絶句した。

それは、クロウとシロウが言葉を身に付けた瞬間であり。


そして俺にとっては、目頭が熱くなるような感動と、

冷や水をぶっ被されたような戦慄を、同時に味わった瞬間だった。




刮目して見よ。

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