表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/101

二十皿目、 ――油断大敵 4



約束通り、キンダイチには狐目の情報を渡すことにした。

と言っても大したことは知らないが。


「俺に盗みを持ちかけてきたのは、狐みたいな優男だった。

 目が細くて吊ってる。ひょろっと背が高くてスーツを着てた。

 髪はオールバック。あと日本語が片言だ」


覚えている限りのあいつの特徴だ。


「狐に似た男……?」


キンダイチは首を傾げる。心当たりは無いようだ。


「で、あんたが俺の安全に協力してくれるってのは、何をどうしてくれるんだ?」

「勿論卵を引き取ります。あれが孵ると大変なことになりますから」

「例えば?」


一瞬口ごもって、キンダイチはぽつりと零した。


「食べるんですよ、人を」


……それは、予想だにしてない答えだった。


「竜は餌を選ばない。

 動物や植物だけでなく、コンクリートや毒物も食べて消化してしまう。

 そういう風にできてるんです。

 竜にとっては何でも餌だ」


じゃあ何故わざわざ人を食うのか?

卵から孵ったばかりの竜はとても飢えている、とキンダイチは言った。


「だから、生まれて最初に見た動物を獲物と定めて襲う。

 あの卵はいつ孵ってもおかしくない状態だった。

 もし生まれてたら、その時食われるのはあなただろうね」


ぞっとしない話だ。

でも、それは嘘だ。

卵から生まれた竜は俺を食わなかった。


喰わなかった。

平らげたのはカレーだ。


キンダイチは嘘をついている。

俺を脅して竜を取り戻そうとしている。

どいつもこいつも信用ってもんが無さ過ぎるんじゃないか?

俺も含め。


嘘と真実の間にこそ、そいつの本音が現れている。

俺は、キンダイチを信じることはできないと結論づけた。

狐目?

もっと信じられるかバーロー。




狐と狸の化かし合い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ