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第8話 「合図で動く」

訓練は、いつもより静かだった。

隊長は細かい指示を出さない。

立ち位置も、動き出しも、すべて任された。

「一つだけ覚えとけ」

開始前、隊長が言った。

「前に出るな。

 俺が合図する」

新兵は、うなずいた。

始まる。

敵役が散る。

距離が揺れる。

角度が変わる。

新兵は、動けると感じた。

距離もある。

退路もある。

――今なら、いける。

だが、動かない。

合図がない。

一瞬の沈黙。

その間に、相手の動きが鈍る。

先に痺れを切らしたのは、敵役だった。

踏み込む。

その瞬間、隊長の声が落ちた。

「今だ」

新兵は動いた。

投げる。

避けさせる。

味方が詰める。

動きが、重なる。

一拍も遅れず、

一拍も早すぎず。

模擬戦は、短く終わった。

隊長は、新兵を見た。

「自分で行けると思ったか?」

新兵は、正直に答えた。

「はい」

「それでも止まったな」

「……はい」

隊長は、少しだけ口元を緩めた。

「それでいい」

夜。

新兵は教本を開く。

今日の項は、短い。

「連携とは、

速さを揃えることではない。

判断を揃えることだ」

昼の感覚が、静かに胸に落ちた。

一人なら、行ける。

だが、皆で行けば、もっと安全だ。

新兵は、余白に書いた。

――待てるのも、技術。

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