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B君
教室の窓から差し込む夕陽が、四宮の横顔を照らしていた。いつものように首から手帳をぶら下げ、何かを一心不乱に書き込んでいる。
彼のその姿を見るたびに、僕はなんとも言えない気持ちになる。
四宮は変わっていると言われている。授業中だろうが廊下だろうが、思い付いた詩を誰彼かまわず話しに行く。周りのクラスメイトたちは、そんな彼を面倒に思っているみたいだ。
でも、僕にはそうは思えない。
むしろ、彼のその情熱が羨ましい。
「この詩はどう思う?」
そう言って手帳を差し出してくる四宮の顔を、僕はまじまじと見る。本当にいい意味で周りが全然見えてないんだろうなと思う。
見ると、風や星や雨のような自然をテーマにした詩が書かれていた。言葉ひとつひとつが独特で、彼自身の世界観が詰まっている感じ。
僕は答えた。
「すごくいいと思うよ。僕にはこんな風に感じる力はないから、羨ましい」