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異世界オカン  作者: 三毛猫乃観魂


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第二十三章 オカン、“特製”料理を食う

 今回はクロゴネンドでのお祭りの話。


「おおきにな、あんちゃん」

 帝都からクロゴネンドまで馬車を走らせてくれた御者にオカンは感謝の言葉を述べた。

「ありがとう」

 真輔もお礼を言ってから、オカンと一緒にクロゴネンドに向かう。

「こんにちは~」

「こんにちは。見張り、ご苦労様です」

 見張りをしている衛兵たちに挨拶。復興したとはいえ、警備は必要。実際、オカンは襲撃を受けている、返り討ちにしたけどね、襲撃者は爵位持ちのザニーグ魔男爵だったけどね。

 クロゴネンドの復興を祝う祭りは始まっていた。ラティストアン帝国で行われた祭り程の規模ではないが、皆を楽しませていた。

「オカンさん、真輔さん、お好み焼き食べていかない」

「こっちは焼きそばだよ」

「イカ焼きはどう」

「焼きとうもろこしもあるよ」

「りんご飴~りんご飴~。甘くて美味しいよ」

 屋台を営んでいるのは魔族が侵攻時に避難した民たち。クロゴネンド復興を機に帰ってきた。また移住希望者もいる。

 クロゴネンドを取り戻せたのはオカンのお陰、感謝の気持ちを表そうとオカンの広めた料理を覚えた。

 オカンの広めた料理以外にも自身の自慢料理を出す屋台もあり、いろいろ差し出してくる。

「おおきに、おおきに」

 出される料理をオカンは次々に平らげていく、底なしに。

 真輔は体格のわりには食べる方だが、流石にオカンレベルは食べられない。

「何~このたこ焼き、熱々で美味しい~」

 たこ焼きをハフハフしながら、ニーナが食べている。異世界でも人は美味しいものを食べると、ニコニコ顔になる。

 復興に尽力を尽くした作業員たちも屋台料理に舌鼓を打っていた。

 ただ、河内音頭は教え込んでいないので盆踊りは行われてはおらず。輪投げや的当てや各種クジ引きの屋台も商品の提供が出来ないので無い。何故なら、クロゴネンドは復興した間もなく、商店も仕入れを始めたばかりで本格的な開店は近日。

 沢山食べたので一休みしようと、真輔は目に入ったベンチに座った。

「ふぅー」

 一息つく。気を利かせた作業員の一人がハーブティーを持ってきてくれた。

「ありがとう」

 お礼を言ってハーブティーを受け取る。

「オカンさん、私の“特製”料理をどうぞ」

 細身の青年がひき肉とトマトなどを炒めて作ったソースを短いパスタにかけた“特製”料理を差し出す。

「おおきに」

 “特製”料理を受け取るオカンを見る細身の青年の顔は笑っていた、それも人を蔑む笑い。

 何の警戒もせず、フォークを手に取ってオカンは“特製”料理を食べた。

「うむ、塩コショウが入っとんな。少し苦みがあるけど、まぁまぁの味やな」

「?」

 何の変化もなく、平気で“特製”料理を食べ続けるオカンの姿を見て細身の青年は首を傾げた。

『大臣の奴、小瓶を間違えたな』

 何の変化もないオカンを見て細身の青年はそう判断した。ならば安全だと、細身の青年は“特製”料理のソースを指に付けて味見。いつも、こうやって自身の作った料理の味見をして腕前を高めてきたのだ。性根はどうであれ、一流の料理人ではある。

「うッ」

 細身の青年は胸を押さえて、そのまま崩れ落ちる。

「あんちゃん、どうしたんや」

 慌てるオカン。ちなみに空になった皿はフォークと一緒に屋台に置いた。

 隣の屋台でとうもろこしを焼いていた男が倒れた細身の青年を介抱しようとしたが、

「息をしていない……」

 青ざめるとうもろこしを焼いていた男。騒然となる周囲。


 事態を聞きつけた二人の衛兵が駆けつけてきた。衛兵の一人が細身の青年を調べ、もう一人の衛兵は屋台を調べる。

「……死んでいる」

 軽く冥福を祈る。

「こいつ、ヘクターじゃないか。腕はいいんだがよ、貴族出身を鼻にかけて他人を見下して嫌な奴だったな」

 クロゴネンドに帰ってきた料理人のおじさんが細身の青年、ヘクターのことを知っていた。

「ああ、確かニックと料理長の座を争っていた奴だろ」

 そんな貴族出身の料理人が、何故クロゴネンドにいて何故死んだのか? 皆の間に疑問が飛び交う。

「これは……」

 屋台を調べていた衛兵がヘクターの荷物から、怪し気な小瓶を見つけた。

 蓋を開けて、匂いを嗅いでみるが無臭。

 料理を食べてヘクターが死んだ。状況的に見れば毒殺たが、同じ料理を食べたオカンはピンピンしている。

 一体、どういう事なんだ?

「何があったんですか」

 騒ぎを聞きつけた真輔が駆けつけてきた。

「詳しい状況を知りたいので、帝都に来てくれませんか」

 帝都には専門家がいる、遺体や小瓶や“特製”料理をしっかりと調べなくてはならない。オカンに聞きたい話もある。

「解った、帝都に戻ろうやないか」

 頷くオカン。人一人亡くなっているのだ、ただ事ではないことが起こっている。帝都に戻るのもやぶさかではない。空気を読むときはちゃんと読む。

「僕も行くよ」

 真輔も、何が起こったのか詳しく知らなくてはいけないと判断。

 本来、クロゴネンドに泊まる予定だったが急遽帝都にとんぼ返りすることとなった。

 オカンと真輔が住むために建てられた家を見たかったが、それは後日に回す。







 何故、オカンは“特製”料理を食べても平気なのか?


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