第二十二章 続・オカンの居ないところで
あいつとあいつの同類の悪だくみ。
夜も更けた時間の帝都。昼間よりは少ないとはいえ、往来する人の姿はある。お酒を飲みに行く人たち、夜の散歩をする人、夜景を楽しむデート中のカップ、夜間の警備を任された騎士たちなど。
三人の男が周囲の目を、特に騎士に見つからないように細心の注意を払いながら物陰を移動。三人の男は身なりで貴族だと解る。
伝書鳩を使って連絡してきた人物は大っぴらに帝都を出歩けない身の上。会いに行くにも人の目に着いてはならない。
三人の男が訪れたのは帝都の外れにある屋敷。三人の中の一人が愛人と戯れるために偽名で所有している物件。ここならば関係者以外には知られておらず、密談には丁度いい。
「無事だったかチャド」
屋敷の中で椅子に座って待っていたのはチャド。
「問題ない、お前たちのお陰で帝都に帰ることができたよ」
伝書鳩を使って連絡したチャドを三人の男は密輸品を帝都に持ち込む通路を使って潜入させた。
チャドと向かい合って椅子に座る三人の男。
「実はな……」
魔族との取引の話を話し始める。
「それは本当なのか?」
「ああ、本当だとも」
取引が本当だと自信満々に言い切る。
「私たちが人間と魔族との和平を成し遂げたと英雄になれるのか」
「これで平民上がりの騎士団長に身の程を知らせることができるぞ」
「オカンを毒殺する必要かあるが、よそ者の分際で大きな顔をしている奴に報いを与えると考えればいい」
「その通り、帝国は我々貴族のもの、平民やよそ者のものではないんだ」
オカンは大きな顔をしているつもりはない、物理的には大きいが。
話し合う必要は無かった。あっさりと三人の貴族はチャドに賛同する。全員の考え方がチャドと同類。
「これがその薬だ」
机の上に置かれた小瓶に全員の視線が集中する。中身が毒だと知っているせいか、禍々しく感じさせる。
「どうやって、オカンに毒を飲ませる? 作戦はあるのか」
「ある」
ニヤリと笑うチャド。
「もうすぐ、クロゴネンド復興を祝して祭りが行われる。そこに出される料理に毒を盛ればいい。オカンが食事をする際、全く警戒せずに食べていることは調べが付いている」
オカンはクロゴネンドの領主、必ず祭りは参加する。その時がチャンス。
「そううまく行くのか、一体、どうやって毒を盛る?」
作戦は単純だが、オカンの食べる食事に毒を盛る必要があり。
「貴族出身の料理人にヘクターと言う者がいてな、彼はオカンと親交のあるニックと確執があるのだよ」
三人の貴族もヘクターのことは知っていた。料理長の座をニックと最後まで争った人物。料理の腕で競った結果、ニックが料理長になったのである。
「ヘクターは平民であるニックが料理長に選ばれたことに腹を立てていて、今回の計画がうまくいけばニックを追い払い、代わりにお前を料理長にすると言ってやれば二つ返事で引き受けたよ」
チャドも三人の男も平民のニックが料理長になっていることを快く思っていない。反対する者など、一人も出ず。
「儂の計画に失敗などあり得ない」
満場一致で計画実行が決定した。だが、チャドも三人の男も気が付いていなかった、既にフラグが立っていることに。
オカン「ウチ、出えへんの」




