第十五章 オカン、寝ずに会議に参加する
オカン参加の会議回。
帝都に帰ってきたオカンと真輔。
「お帰りなさい、オカンさん、真輔さん」
馬車から降りたオカンと真輔をバーナードが出迎えた。
「「だたいま~」」
親子揃って返事。
「皇帝陛下と皇女殿下、貴族たちがお待ちです」
バーナードと共に城へ。
城の会議室には皇帝のジョセフと皇女のシンシア、大臣のチャド・コーギーに貴族の代表者たちが待っていた。
どっこいしょと椅子に座るオカン。会釈して座る真輔。
とても歓迎しているとはいいがたい顔をしているチャドではあるが、前回のこともあるので大人しくしている。
会議に呼んでもオカンは寝る。いつもは真輔が参加して、後でかいつまんで話していた。ならばなぜ、今日、オカンがここにいるのか。
「ほな、始めるで~」
咳払い一つして、話を始める。
今回の会議はオカンが話す側。内容はクロゴネンドで襲撃してきた魔族の刺客について。
情報は力。知らないよりも知っている方が良い。
身振り手振り、擬音混じりで意気揚々と話す。話していれば寝ることは無いし、オカンは話好き。
一通り話し終えたオカン、解り辛い所は真輔が補足。
ほぅと貴族の代表者たちが一人で魔族の刺客を倒したことに感心する中、
「その話は本当のことなんでしょうか」
横やりを入れるチャド。貴族でないオカンを認めたくないのが本音。この間の会議でやり込められた腹いせもしたい。
「嘘とちゃう、ほんまのことことや」
チャドの横やりなぞ、意に返さない。
「私自身、確認したわけではありませんが、騎士団の一人が魔族の遺体を確認いたしました。また、ニーナや現場作業員たちの証言もあります」
バーナードの援護射撃。
「その者たちも平民ではないか」
言いだした手前、簡単に引き下がれない。
「では聞きますが、オカン殿がそのような虚偽を言って何の得があると?」
「うっ」
口籠るチャド。オカンはよそ者であり、異世界から来た。虚偽を述べたとこで大したメリットが無い。協力してくれているのも善意。
「考えてみれば、今、クロゴネンドに滞在している者の中で魔族を倒せるのはオカン殿以外にはおりますまい」
貴族の代表者の一人が言うように、今、クロゴネンドにいるのは現場作業員。体力はあっても戦う技術は持ってはいない。
とてもではないが、余程運が良くなければ魔族を倒すことは不可能。クロゴネンドどころか、人間側に単身で魔族に勝てる者がいるかも怪しい。
「クロゴネンドとドドラームを取り戻せたのもオカン殿の力」
他の貴族の代表者たちも同意を示す。
またも孤立状態のチャド大臣。
「ところで襲撃してきた魔族は強かったのですか?」
興味本位で聞いてきた。
「大した奴じゃなかったで。多分、雑魚や」
「それならば功を焦った下級の魔族なのでしょうね」
「もし爵位持ちの魔族だったらと思うと、ゾッとしますな」
「いくら、オカン殿でも爵位持ちの魔族は一人では勝てないでしょう」
オカンが倒した魔族の刺客が、魔男爵のザニーグだと言う事は当の本人含めて誰も知らなかった。真輔も。
「オカン殿」
会議後、バーナードはオカンを呼び止めた。
「私と騎士団を鍛えていただけないでしょうか」
一時の間を置き、
「本気で?」
真輔に問われ、バーナードはしっかりと頷く。
「我々はまだまだ戦力不足、オカン殿の力になれていません。オカン殿の足手まといにならないようにもっと強くなる必要があります」
オカンと自身たちを比べるなんて止めた方がいいよと真輔は言いかけたが、そのまま言葉を飲み込んだ。姿勢を正し、まっすぐな目。どれだけ、真剣なのかひしひしと伝わってくる。
「よっしゃ、おばちゃんに任しとき、ビシビシと鍛えてやるさかい、覚悟しとき」
「ハイ」
バーナードの返事は騎士団共通、異論は出ることは無いだろう。
おしゃべり好きなオカン。




