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プロローグ

 大阪のオカンが異世界へ行くと、どうなるのか。

 神殿で祈りを捧げるブロンドの少女、彼女はシンシア・ラティストアン。ラティストアン帝国の皇女であり、巫女でもある。

「皇女殿下!」

 一人の青年が神殿に飛び込んできた。顔立ち全身から放つ雰囲気、着ている鎧の状態からかなりの手練れと解る。

「何かありましたか、バーナード」

 青年、バーナードの様子から、ただ事ではないことを悟ったシンシア。

 シンシアの声を聴き、落ち着きを取り戻したバーナード。

「魔王軍の侵攻により、クロゴネンドとドドラームが落とされました。生き残った民は魔族の奴隷にされたと……」

 辛そうなバーナード。自国の民が魔族の奴隷にされることは騎士として辛く、そして悔しい。騎士として自身の無力さを思い知らされる。

 一瞬、シンシアは心痛な表情になったが、

「……解りました」

 と小さく呟いた。皇女であり、巫女たる自分が慌てふためいたりすれば、多くの民が動揺や混乱を招いてしまうことになる。

 どんな辛くとも表に出してはならない。

 決してクロゴネンドとドドラームが弱かったわけではない。むしろ魔王軍の侵攻に対抗するため、傭兵を雇い十分に対策を講じていた。

 魔王軍がそれほどに強いと言う事は、それの頂点にいる魔王はどれほど強いと言うのだろうか。おそらく、この世界では魔王に勝てる(つわもの)はいない。

 この世界では魔王に勝てる兵がいないというならば……。

 天を仰ぐシンシアは目を閉じ一心に祈る。その体が七色に輝く光に包まれた。

「どうか、世界を救う勇者を私たちに――」



     ☆



「阪神が勝つと気分がええな」

 頭の上からつま先、上から見ても下から見ても右から見ても左から見ても大阪のおばさんであることを隠していないオカンがハイテンションでお初天神商店街を歩いている。着ている服はもちろん、ヒョウ柄。

「オカン、頼むからここで六甲おろしを歌うのは止めてよね」

 そう言ったのはオカンの少し後ろを歩く少年。

「解っとるがな、こんなところでいくらウチでも歌わん」

 と言いつつ、実は突っ込まなければ六甲おろしを歌っていた。

「真輔、あんたもウチに似て別嬪さんなんやから、ドーンとやってバーンとやらなあかんで」

 身振り手振りを交えながら話すオカン。突っ込まれてもオカンのテンションが高いまま。

「僕は男なんだから、別嬪さんと言われても嬉しくない」

 オカンはウチに似てとは言ったが、オカンと少年の真輔は全然似ていない。それでも二人はは正真正銘の血のつながった親子。

「晩飯にお好み焼きを食っていくか」

 どの店にするかと辺りを見回す。真輔を探していると、違和感に気が付いた。自分たち以外に誰の姿も見えないのだ。

 時間的にお初天神商店街に人っ子一人いないのはおかしい。

 漂う尋常ではない雰囲気。

「何で誰もおらへんねん」

 オカンも異変に気が付く。

【どうか、世界を救う勇者を私たちに――】

「えっ、誰?」

 突然、聞こえてきた声。真輔が声の主を探してみても自分たち以外の姿は見えない。

「どないしたん?」

 オカンが声をかけた、その時、二人の目の前に七色に輝く光の球が目の前に現れた。

「何なんや、これ」

「あかん、オカン、得体のしれない物に不用意に触っては」

 止めても無駄であった。何の躊躇することなく、オカンが七色に輝く光球に触れた瞬間、七色の光が二人を包み込む。






 お初天神商店街には何度か行ったことがあるよ。

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