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2.クラス替え!

始業式が終わり、掲示板に張り出されていたクラス表の通りに教室へ向かう。


適当な席に座って、腕を枕替わりにして突っ伏して寝ていると、頭の上から「よう」という声がした。


誰だろうと顔を上げると、前の席に座って俺を見ている斉藤蓮さいとうれんと目が合った。



「また同じクラスだな」


「そうなのか……蓮の顔を見ても嬉しくない」


「それはこっちのセリフだ」



蓮とは中学二年からの腐れ縁で、学校でも立ち位置も俺と同じ、空気のようなモブということもあって、よく話しをする仲なのだ。



「どうせまた、蓮と二人でこうやってダベッてるだけで一年が過ぎちまうんだろーな」


「イヤな予言をするなよ。今年こそ、可愛い女子とお付き合いをして、俺はリア充に昇格してやるからな。その時は涼介に自慢してやるから、悔し涙を流すがいい」


「そうなってから、その言葉を吐け」



蓮が煽ってくるので、俺も言い返す。



……そういえば一年前も、二人でこんなやり取りをしたような気がするぞ……まったく不毛すぎるな……



二人でそんなことを言い合っていると、教室内に段々と生徒達が集まりだした。


すでに高一の時に、カースト上位のリア充グループに属している男子達は、さっそく女子達と仲よく話し始めている。


それを横目で見ながら、蓮が不満そうに頬を膨らませる。



「いいよなー俺も彼女ほしいよなー」


「口に出すな。余計に惨めになるぞ」


「でもさ、あいつ等も俺達も、そんなに大差ないじゃん。それなのに不公平だろ」


「女子達からみれば違うんだろうよ。特に顔とか、身長とか、頭の良さとか、運動神経とか」


「皆まで言うな。メンタルが崩壊するだろ」



連は情けない表情をして机に頭を突っ伏す。



こうしてまた時間だけが進んでいき、高校三年に進級して、大学入試に向けて灰色の世界の中へ入っていくのか……



妙に達観的な気持ちになりながら、周囲の様子を見ていると、生徒達が教室の出入り口を見てざわつきだした。


ふと、そちらへ視線を向けると、工藤さんと香坂さんが教室に現れたところだった。


制服のブレザーを着崩して、ネクタイを大きく緩め、シャツの第二ボタンまで大胆に外しており、スカートの丈はギリギリまで短く、そこから露わになる生足が眩しすぎる。


その姿に見惚れていると、工藤さんが振り向き、俺と目が合った。



「いたー!」


「ホントだ、同じクラスじゃん」



二人はにこやかに微笑むと、スタスタスタと僕が座っている場所まで歩いてきた。

その気配に気づいた蓮が、机から顔を上げる。



「いったい何が起こったんだ?」



そんな彼を気にする様子もなく、僕の前まで来た香坂さんが、ニッコリ笑って前屈みになる。



「この間はありがとね」



……シャツの隙間から、豊満な胸と、それを覆う薄い桃色のブラジャーが……



思わず吸い寄せられるように、ジーっと凝視していると、工藤さんも前屈みになって、シャツの隙間を指で開けてくる。



……今度は黒のブラジャーが……



「この前、お礼ができなかったから、ささやかなサプライズ」


「あ……ありがと……」



……スケベ心を持つ男子としては、美少女二人のブラジャーが少しだけでも見れて、めちゃくちゃ嬉しいわけなんだけど……こういう時、何と言えばいいのか対処に困るというか……



美少女二人が、俺に話しかけているのを見て、蓮が吠える。



「いったい、どういうことだよ。いつの間に工藤さんと香坂さんと知り合いになったんだよ。そんな話し、俺は全く聞いてないぞ」


「春休みの時、街中でナンパされている私達を助けてくれたんだから。あの時はホントに助かったし」


「そうそう男三人相手に、一人で助けてくれたんだから。めちゃカッコ良かったんだから」



その戸惑いの声を聞いて、美少女二人は姿勢を直して蓮に説明する。


すると蓮がアホなことを言いだした。



「涼介じゃなくても、俺だって工藤さんや香坂さんのためなら、下僕にだって、奴隷にだってなるよ」


「ふーん、そうなんだ。じゃあ、私達の奴隷一号にしてあげる。だから自販機に行って、ジュースを三本買ってきて」


「いやいや例えで言っただけで、本気にされても困るわけで」


「自分で言いだしたんだから、ジュースぐらい買ってきてくれてもいーじゃん。ちゃんとお礼をしてあげるから」



そう言って、香坂さんが自分の大きい胸を両腕で持ち上げた。


それを見た蓮は瞬時に席から立ち上がり、二人に敬礼をして教室を出て行ってしまった。



……大きな胸を見たぐらいでシモベになるとは単純な奴だ……しかし蓮と立場が違ったら、俺も喜んで自販機に走っていっただろうな……



周囲を見ると、男子達は嫉妬を含んだ視線で見ているし、女子達は好奇心に目を輝かせて俺を見ている。



……このままだと妙な噂が学校中に広まって、廊下も歩けなくなるぞ……今まで壁と同化しているようなモブをしていたから、なるべく目立ちたくないんだけど……



蓮を見送った後に、俺の方へ顔を向けて、工藤さんが明るく微笑む。



「せっかく同じクラスになったんだから、友達になろうよ。私のことはヒマリって呼び捨てでいいからね」


「私もアヤネでいいから」


「涼介です……よろしくお願いします」



二人の圧に負けて、名乗ってしまったけど、これでいいのだろうか?



……平凡な灰色の日常を変えたいと願っていたけどさ……こんな風にハプニングが舞い込むなんて予想もしていなかったよ……

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