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8話

8話

《銀河鉄道の夜は幻想的だったその3》

私たちはその日のうちに東京を出た。

哲也が予約した夜行列車に乗って、二人で旅をするつもりだった。

でも駅に着いたときに哲也は、財布にお金がほとんど入っていないことに気がついた。

彼が勤めていた会社はバブル崩壊の影響で倒産してしまって、そのおかげで彼も失業していたのだ。

哲也は困ったように笑って頭を掻いた。

「お金がないや」

私がそう言うと、哲也は駅のベンチに腰をおろしてため息をついた。

「ごめんね」

と彼は言ったが、私は何も答えなかった。哲也もそれ以上は何も言わなかったし、私もそれでいいと思っていた。

私たちはこれから死ぬのだからお金なんてあっても仕方がないのだ。

だから私は財布からいくらかお金を出すと、それを哲也に渡そうとした。

けれど彼は首を横に振った。

「もういいよ」

哲也はそう言って、私の手を握ってくれた。

私も何も言わずに手を握り返した。

「ここで死のうか」

哲也は顔を上げて言った。

「うん」

私は静かにうなずいた。

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