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第93話

 次の日、夏期講習が終わると文化祭の出し物についての話し合いが始まった。

伊東と内藤が進行役になってクラスのみんなから意見を聞いたが、誰一人として手を挙げなかった。何かの展示で済ませようと思っていた俺が思うのもなんだが、このクラスの奴らは積極性に欠けてるんじゃないかと思った。だが、そう思っている俺も誰も意見を言わない中で手を挙げて発言する勇気はなく、結局この日の話し合いは何も決まらずに終わってしまった。


放課後、いつもの4人で集まったが、この日も漫画の話をせずに文化祭の出し物について話し合った。


「何も決まらなかったな。」


「そうだねぇ。」


「ていうか、セイとハタケは自分の意見を言わなくて良かったのか?」


「あ!そうそう。トツカくんとミーちゃんはやりたいことがあったんじゃないの?」


キョウヘイとカジワラが気付かなくていいことに気付き、俺とハタケに尋ねてきた。


「いや、別に俺は積極的に何かの展示を薦めたい訳ではないから。誰かが何か提案したら、こんなのもあるよって提案してもいいかなぐらいの気持ちだから。俺よりもハタケだろ。意見を言わなきゃいけないのは。」


「あ!トツカくんズルい!トツカくんはただ単に誰も意見を言わなかったから、自分が最初に意見を言うのをためらっただけでしょ!」


「そう言うハタケもためらったんだろう⁈人のこと言えないと思うけどな!」


「ちょっと待った!俺から言い出したことでもめてるのは分かるけど、ちょっと待ってくれないか?」


俺とハタケがちょっと言い争いを始めたら、原因を作ったキョウヘイが止めに入った。


「なんだよ、キョウヘイ⁈邪魔すんなよ!」


俺は原因を作ったキョウヘイの言うことを聞くのが何だか癪に障ったので、せっかく止めに入ってくれたキョウヘイに強めに当たってしまった。


「そうだよ!元はと言えば、イチノミヤくんが言ったことから始まったんだよ!」


カジワラも同じ気持ちなのかキョウヘイに強めに当たっていた。


「それは悪いと思ってるよ!だから2人ともごめん!喧嘩の原因を作った俺が提案するのはおかしいと思うけど、2人が言い争いをしなくていい良い方法があるので聞いてくれないか?」


「なんだよ?良い方法って?」


「そうだね。一応聞いておこうか。」


「それは明日も文化祭の出し物について話し合いがあると思うから、その時にセイとハタケどちらが先に自分の意見を提案することができるかで争えばいいんじゃないかな?これならセイとハタケの意見をクラスのみんなに聞いてもらえるし、どちらが意気地なしか分かるし良い方法だと思わないか?」


「……うーん。確かにそれなら俺たちが揉めてる原因は解決できるな。でも……。」


「そうだね。原因は解決できるね。でも……。」


俺とハタケはキョウヘイの提案にある程度納得したが、一部納得できない点があった。


「キョウヘイ……。」


「イチノミヤくん……。」


「ん?どうした?」


「俺たちがいつお互いのことを意気地なしって言ったんだよ⁈言ってないだろ!」


「そうだよ!言いそうになったけど、まだ言う前だったよ!私もトツカくんも言ってないことを言わないでよ!」


「あれ?そうだっけか?2人ともごめん!てっきり、もう言ったものだと思ってた。」


キョウヘイという本当の敵に気付いた俺とハタケは、その後もキョウヘイのことを責め続けた。


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