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第91話

 夏休み初日の午前9時、俺は昨日と変わらず学校に登校して授業を受けていた。


俺は自分が通っている高校の夏休みがどんなものか、高一の時に経験していたのにもかかわらず、昨日まで夏休みが始まることが嬉しくてすっかり忘れていた。うちの高校は公立の進学校なので夏休みの前半までは基本全員参加の夏期講習があった。


それなら後半は遊べるのかというと、後半は2学期にある文化祭の準備などが始まるので、後半は後半で遊んでいる時間はあまりなかった。そのため、夏休みが始まる前に考えていたバイトを始める計画は頓挫しそうになっていた。


それ以外にも、夏休みにカジワラとナツキとハナザワさん、それぞれと一緒にいる時間を確保しなくちゃいけないことも頓挫しそうな理由の一つだった。なので、バイトを始めることを諦めるわけではないが、ナツキとハナザワさん、この2人とのデートはあまりお金がかからないデートコースを検討するしかないかと考えていた。数少ない救いは夏期講習が午前中で終わることと土日はないことだ。


午前中の授業を終わり、やっとカジワラたちと漫画の話ができると思っていると、担任の木下が「文化祭の実行委員を決めなくちゃいけない。男子と女子の2人、誰か立候補はいるか?」とホームルーム中に聞いてきた。


カジワラが立候補するなら俺も立候補するつもりでいたが、カジワラはどちらかと言うと文化祭とかに積極的に参加するような性格ではなかったので、きっと立候補しないだろうと思いながらカジワラの方を見ると、あまり関心がなさそうな顔をしながら少しうつむいていた。男子は伊東が、女子は内藤がすぐに立候補してくれたので、むりやり誰かを選ばなくて済んで安堵している奴は俺以外にもいるだろうと感じていた。


文化祭実行委員も決まったし、ホームルームも終わりかな?と思っていると、担任の木下が、「再来週までにはクラスの出し物を決めなくちゃいけないから、明日からは授業が終わったら、その話し合いをするぞ!何をやりたいか考えておいてくれ!」とクラス全員に伝えてホームルームが終わった。


お昼を食べ終えた後、いつもの4人で漫画の話をするだろうと思っていたが、話の内容は文化祭の出し物の話になった。


「俺は何かの展示とかがいいかな。そうすれば文化祭の日は他のクラスや部活の出し物を見に行くことができるしな。文化祭を楽しむなら、その方が絶対いいよ!」


俺が自分の意見を自信満々に3人に伝えると、ハタケが、「えー⁈そんなのつまらないよ!自分たちも積極的に参加した方が楽しいと思うから、やっぱりここは漫画でも定番な劇とかメイド喫茶とかを私はやりたいな!」と反論してきた。


俺はため息をついてからハタケの意見に対して、「ハタケ。確かにそういう楽しみ方もあるけど、うちのクラス、部活に所属している奴らが多いってことは分かってるか?クラスの出し物に専念できる人数は少ないから、劇やメイド喫茶なんて多くの人員が必要な出し物はできないと思うぞ。」と厳しい見解を述べた。


ハタケはそれでも諦めきれないのか、カジワラの方を見て、「レーちゃんはどう思う?」と尋ねた。


カジワラは、「私はトツカくんの意見に賛成かな。積極的に参加するだけが文化祭じゃないからね。さらに言えば、できれば何かの展示会とかもしたくないかな。」と親友であるハタケの意見にきっぱりとNOを突き付けた。


親友の賛同を得られず、ハタケは助けを求めるようにキョウヘイの方を見た。キョウヘイは最初は困ったような顔をしていたが、次に意を決した表情になり、「ハタケ。メイド喫茶はちょっと無理な気がするな。確かうちの学校って文化祭で飲食の提供は禁止していたからね。衛生管理上の問題から仕方ないと思うけどね。でも劇だったら、登場人物が少ない朗読劇とかに替えれば何とかなるかもね。台本を読みながらできるから、劇ほど練習もいらないだろうしね。」とハタケの意見にできるだけ配慮した意見を述べた。


ハタケはキョウヘイの意見は納得できたみたいで、「そうだね。うん。メイド喫茶は諦める。朗読劇を明日提案してみるよ。」と言った。


ハタケをあまり落胆させずに納得させてくれたキョウヘイには感謝しかなかった。


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